Mommy マミーのレビュー・感想・評価
全106件中、21~40件目を表示
Xavier Dolan
日本ではすでに名前も知られ、人気の監督ですが、この作品は彼の名を日本に広めた作品と言ってもいいでしょう。私もドラン初観賞作品はこの作品でした。
まず最初にこの映画を見て出てくる言葉は、美しい。そして最後に出てくる言葉は、美しい。映画が始まって、私が死ぬまで私の中でこの作品は美しいの定義となるでしょう。
撮影
今作で最も目に止まるのは、何と言ってもアスペクト比。このアスペクト比を採用したことは、この作品の全てにつながっていて、フレーミングの美しさが際立っっていました。
1:1の正方形の画面では、幅広いのが映画という、これまでの常識が通用しない世界。映画の特徴とも言える画面いっぱいのに広がる景色や、3ステージを使ったストーリーテリングなどの映画の最大のパワーを捨てててまで採用したアスペクト比。しかし、彼はさらに新たな方法を発明することでさらに強力なものへと仕上げました。それがフレーミングの決まりを作るということ。この作品の90%のフレーミングがキャラクターが真ん中にいるというもの。たとえ会話のシーンであっても、キャラクターは常に真ん中。ウェスアンダーソンのようなシンメトリーの構図に加え、彼がストーリーテリングの方法として用いたのは、サイズ。単純に、ワイド、ミディアム、ミディアムクロースアップ、クロースアップdすが、そのサイズの違いを主体としてキャラクターアークを作る。それによって、この正方形の狭いアスペクト比をつかって、塞ぎこんだ感情と、寄添い合う愛情の2つを表現したのです。これはまさに発明。まぁもうドランは一生使わないだろうけど。会話でのシングルと、写真を撮るときの3人が1つのフレームに入るワイドのコントラストがとても強力。まさに、ビジュアルストーリーテリング。
それに加えて、フィルム特有のハイライトカラーの使い方、ししてエピックなライティング、アンドレターピンお天才か。
編集
編集者としてのドラン。フレンチニューウェーブに強く受けた編集スタイルだけでなく、私の好きなところは、間の取り方。怒涛の口喧嘩の後にくるのボイスオーバーのモンタージュや叙述的なショットを並べた音楽主役のシーンなど、ドランの作品には欠かせない要素。そのまさに芸術とも言える、意識の枠を超える、感覚の部分で脳に、心に強く印象に残るシーンは最高。このストーリーが一旦止まり、感情に深く入って行くところは、ヒューマンドラマではなくてなはらないもの。ドランはその入れ方、そこへの持って生き方が天才。泣かないわけにはいかない。
スティーブの心の映像
どうしたらいいのか正解はない、皆んな精一杯でどうしようもなく観ていて辛い作品だった。
映像と音楽はすごく鮮やかで、スティーブの心が楽しいとき、母親が希望に満ちた将来を妄想したときに画角が広がる表現がよかった。特にスティーブのスケボーやカートに乗り風を受けて自由に自分の世界を楽しんでいるシーンはとてもきれい。
ドラン監督の音楽(BGM)と人物のクローズアップのタイミングが好み。
でもやっぱり胸が苦しくなる話で、入院するときやその後母親の留守電にメッセージを残すシーンは辛くて泣けてきた。母親が友人に話した最後の内容が救いかな…
終わり方は個人的に嫌な予感がして何とも言えない気持ちで見終わった。
悲しい
登場人物同士、お互いの事が分かっているつもりなのに、実はサッパリ理解していない。
普通の映画なら救いようのないカスは、主人公からある線の向こう側にいる存在として描かれると思います。
しかし、この映画ではそのカスは、あまりに主人公と密接な存在で、主人公は破滅的なまでに最後まで救おうとします。
すごく痛々しいです。
すごい映画でした。お勧めします。
母子再び
2015年の公開時にも見たのですが、昨日まで恵比寿でやっていたのでまた見てきました。
個人的にはドランの処女作「マイ・マザー」が一番好きです。この「マミー」を見て良かったなと思った方には是非「マイ・マザー」「わたしはロランス」等も見て下さい!と言いたいです。
テーマは母と息子の葛藤。アンヌ・ドルバルが母を演じています。彼女のフランス語が非常に聞き取りにくい。すごく訛りがあって。他の作品ではドルバルはきれいなフランス語を話しているので、恐らくこれはわざとなんですよね、主人公一家のポジションを示すための。
1対1の画面が話題になりましたが、正方形だと画面がひとりのアップになりやすい。これが「たかが世界の終わり」の撮り方につながったのかなと思いました。父親が亡くなり引っ越した点など、いくつか重なるところがあります。
隣人のカイラは息子を亡くしていて、恐らくスティーヴに息子の成長したときの姿を重ねている。
子どもを持てば、どうしてもその子が卒業して結婚して孫が生まれて…と想像するかと思います。それだけにラストが悲しい。
いい意味で「マイ・マザー」をより洗練させた作品ではないでしょうか。
グザビエ・ドランの次の作品が早く日本で公開されることを首を長くして待っています。
oasisのワンダーウォールがかかりスクリーンが広がるシーンは鳥肌...
oasisのワンダーウォールがかかりスクリーンが広がるシーンは鳥肌!
たかが世界の終わりから入り、私はロランスと見てきましたが映像と音楽のかっこよさはさすがドラン監督でした。
話としては障害と貧困の二重苦の中、どの選択が正解だったんだろう、誰がいけないんだろうと考えさせられてしまいました。。後半の夢のような素敵な将来のシーン(実際、夢)を見てしまうと、スティーブ、暴力振るうなよ。。。と思ってしまう。でも本当は暴力のきっかけになった、障害を理解しない人びとと社会構造がダメなんだろうなあ。
障害による貧困対策が施設提供じゃなんかなあ。でもそれがベストなのか。。。うーん勉強不足。
ネタは重かったけど映像美のおかげで見やすかったかな。面白かった!
初ドラン!!
以前から気になっていたグザヴィエ・ドラン作品を初鑑賞しました。登場人物のビジュアルや暮らしぶりが良いので、問題を抱えていてもあまり深刻に感じる事ができませんでした。しかし、同ジャンルの感動の押し売りのような映画に比べるととても自然に撮れており、タルデンヌ兄弟の映画のように実在の人物のように思えてきます。女性が好みそうな映像だと思って観ていましたが、長いし終盤はもうスティーヴ君の事がどうでもよくなってきました。
親として
冒頭から画面が小さくて、「ワイド画面に対応してないのか?」とか思いながら観てたら、後々意図的な作りだと分かり、それや音楽の使い方も含めて非常に凝った作りの映画でした。今までであまり観た事のない演出多数で、話に入り込むより作りに驚く映画。
この映画はこれが売りなのかな。
話は所謂問題児の息子を抱えた母親の苦悩。そして国の制度に翻弄されていく母子。しかし母は強し。息子は母の愛情が冷めるのを心配しながら、母は息子を「特別な存在」と愛し、何とか自力で育てていこうと努める。
自分も親として、子どもへの愛は無限だ。冷めることはないと思う。しかしスティーブの様な問題児となった場合でもそれは言えるのか。それは誓うものではなくて、その時次第だと思う。でも、子どもがそれだけ間違った事をしても、親としては常に味方でありたいと思ってます。
強き母の映画
母の日にて鑑賞。発達障害を持つ息子(軽度ではある)が抱え、起こしていく様々な問題や苦悩を、心を折られそうになりながらも、愛をもってしっかりと受け止める母の姿に感動する。その愛が一方通行ではなく、息子もまた母を「誰よりも大切」に思っている、その親子愛が涙を誘う。互いに不器用で、すれ違って自殺未遂までに発展してしまうが、最終的な母の決断は簡単には理解できないものだろう。
個人的には隣人のキャラクターがとても好きだ。彼女がこの家族に与えた影響、彼女が与えられた影響はとてつもないものだろう。彼女が家族と話している時よりも、彼らと会っている時の方が楽しそうで、饒舌になっていると感じたのは私だけだろうか。3人でダイニングで写真を撮るシーン、あのシーンほど幸福感に溢れたショットはなかなかないだろう。そんな愛すべきキャラクタなだけあって、ラストの引越しを告白するシーンは、両者の心情が痛いほど伝わってきて、胸が張り裂けそうになる。
グザヴィエ・ドランは選曲もよく、oasisのwonder wallは信じられないくらい映像とマッチしており、あのアコースティックギターの音が鳴った瞬間、震えた。
絶句…
ちょっと前から気になっていた作品だったので鑑賞したが、鑑賞時に何度も鳥肌が立つ映画だった。
まずこの作品の素晴らしいのはグザビエ・ドラン監督の演出であり、独特な映画の雰囲気を醸しだしている。それに加えて音楽もかなり良く、映像にマッチしていた。ほぼ全シーンで画面両サイドをカットした映像で、ダイアン、あるいはスティーブの気持ちが解放された瞬間に両サイドまで映像が広がるという演出は見事だった。アングルも素晴らしく、キャストの心情が良く伝わった。
ストーリーとしてはラストが全く読めず、常に鑑賞時は不思議な感覚に陥った。こんな映画は初めてでとにかく見入ってしまった。結婚し、子供が出来たら親は子をずっと愛する、そして子も親を愛する。でも、子供は成長するにつれ、親から離れ、親からの愛情の一方通行になる。その点がまだ若い私の心にとても響いた。
大好きな作品となった。
オレ 3 一般 3かな 玄人受け、好き嫌い多い 映画通なら言いそう...
オレ 3
一般 3かな 玄人受け、好き嫌い多い
映画通なら言いそう 4独特の映像
ヒューマントラストシネマ有楽町を初経験
映画の内容のせいもあるが、女性が多い映画館。自分の学生時代で言えば、ぴあで解説される映画ではなく、シティロードで取り上げられる映画が多そう。
絶賛
文句無しの5つ星。
言動、感情表現の一つ一つが派手で突拍子もないようにに見えるけれど、なぜかリアリティーに満ちてる。
スティーブのスケボーカットは絵も美しく、可愛さの極限。
ラストのゴリラ顔で涙をこらえるダイアンの強さといったらない。すごく勇気づけられる。
主題歌もメッセージがピッタリハマっていて最高。
ADHDに対する恐怖に近い思いは抱いた。ただそれに真正面から対峙する2人?3人?の姿がもう、ずっと見てたくなるような痛々しさで。
病院に入れたのは希望を持ってるから。
ラストシーンは二人が死んで終わるとばかり思ってたけど、そんな生温い許し方をする訳がなかった。
希望と絶望はすごく近いものだと思い知らされた。
一個しか歳違わないなんて、嫉妬
愛だけではどうにもならないと施設の人に言われながら、愛だけで二人だけで障害も困難も乗り越えようとする話。
超ミニスカでヘビースモーカーで低学歴のダイアン、傍目には母親失格と映りそうやけどスティーブの全てを受け入れる愛情の深さ。キレてやばいときはしっかり逃げる冷静さも障害を言い訳に息子を甘やかさない強さもある。
スケボー乗ったりカート押したり走ったりしてるときのスティーブ、ほんと自由で気持ちよさそうで。母親に見守られて安心してはしゃげる。
カイラも交えて幸せな世界フォーエバー!ってかんじやったのに…どうにもならない現実ってこと?入院の場面で切なくなった。
架空の法律があるって設定やったけど、現実にも福祉とか思いやりの心とかいう綺麗事じゃ済まされないことは死ぬほどある。実際自分がダイアンの立場やったらあの法律のおかげで救われるかもしれんし。
でも最後まで愛を信じたいメッセージはがんがん伝わった。
てか画面の幅いつ正方形に戻ったんやろ?って見返したら、裁判所からの手紙のとこやった。はあ…
好き嫌いの分かれる映画
そもそも最初から彼の病気がどんなもので、こーやって親に育てられたらグレるだろうってレベルなのか、それを逸脱するほど人殺しってわけでも無い。けれど火傷は負わせてしまうなど攻撃的な一面を見せられると彼の病気の酷さが私に伝わってこなかったのと近所のオバ様の良さが伝わりづらかったかな?!良き友達、理解者?でも置いて引っ越す?!うーん…
だけど母親と別れて収容所にってシーンは目頭が熱くなりますね。
確かに手に負えない。負えないけど優しい一面もある。DV夫と一緒?だけど病気なんだよね。
ちなみにフィルムぽい撮り方の個性には共感できなかったけど好きって人もいると思うので、そこは個性ということで(^_^)
Amazign
This is literally awesome movie. It is sophisticated in terms of style of taking this movie and also the content. I strongly recommend anybody watch this
センスを感じる
この監督、とてつもない才能をお持ちだ!
見終わった後にまず思ったこと。
映像の撮り方だったり、演出だったり、なんだか節々にセンスを感じた。
スティーブが気持ちよさそうにスケボー乗ってるシーン大好き。
「私は負けない」そう話したダイアンの、カイラが去った後の表情に胸が締め付けられた。
もっとこの監督の作品を観てみたい!と思いました。
画角の遊びが素晴らしい スティーブの心情に合わせて画面が広がったり...
画角の遊びが素晴らしい
スティーブの心情に合わせて画面が広がったり狭まったりする様は観客をぐっと作品に引き込みます
親の愛し方は様々ですが、あまりに強烈で儚い親の愛の形の1つを目の当たりにしたような感じです
重たい内容ですが見る価値は十二分にアリです
全106件中、21~40件目を表示