「こんなに強く息子を愛するママは希望を絶対に捨てない。息子はそのママのDNAをたっぷり受け継いでる」Mommy マミー talismanさんの映画レビュー(感想・評価)
こんなに強く息子を愛するママは希望を絶対に捨てない。息子はそのママのDNAをたっぷり受け継いでる
グザビエ・ドランの映画を初めて見た。はじめはずっと苛々苛々してた。スティーブよりもずっと激しい幼い母親、ダイアンの全てが❓️で呆気にとられた。ジャラジャラジャラジャラのボールペン付きキーホルダー、派手なヘアメイクと派手で安物の服、ヘビースモーカー、ヒール高のブーツ!面と向かって何でも言う。心の中では大泣きなのに笑って冗談言って笑顔たっぷり。息子に暴言吐きながらいつでも100%息子の側に居て愛しているママの強さにぶっ倒れそうだった。娘に対してはそうならないだろうが息子に対して母親はああなれると思った。
前半の音楽かっこよい!カメラの動きは登場人物の視線と同期している。長いスケートボードに乗ってスティーブが「僕は自由だー!」と手を左右に広げて、今までの狭苦しかった正方形画面を横長の広い画面にする所は「おー!」と感動した。それから音楽が占める割合はだんだんなくなって、いつの間にか画面もまた正方形に。次に横長の広い画面になるのは白い中古車でママ、スティーブ、カイラとドライブに出かけるとき。ママはハンドル握りながらこれからの「希望」を夢見る:スティーブがジュリアード音楽院を卒業し可愛らしい女性と出会い結婚式を挙げ孫が生まれ大喜びの自分。そんな未来が待ってる訳ない!って母親本人が一番わかってる。
窮屈な正方形画面に戻る。息子に勉強を教えてくれた隣人カイラがトロントに転居すると聞いて、すごいじゃなーい!いいお店やレストランが沢山あるのよ!とハイ・テンションで喜ぶダイアン。嘘つき!カイラもわかってる。
この映画は、ママ=ダイアンを演じるアンヌ・ドルバルにつきます!グルグル回る、繰り返す、決して諦めない、安易に着地せずよくわからないまま希望を求めて生きていく。ドランのママがそうなのか、そうであって欲しかったのか、空想の産物なのか・・・。母親もつらいよ。