「【”僕を救えるのは、君だけだから。そして、閉塞感からの解放。”多動性障害を持つ息子にてこずりながらも不器用に愛する母と息子の関係性を数々の名曲で彩った作品である。】」Mommy マミー NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”僕を救えるのは、君だけだから。そして、閉塞感からの解放。”多動性障害を持つ息子にてこずりながらも不器用に愛する母と息子の関係性を数々の名曲で彩った作品である。】
<感想>
・ご存じの通りグザヴィエ・ドランは20歳で「マイ・マザー」を製作・主演・監督した天才であるが、今作を観てもその片鱗は十二分に分かる。
・クイアでもある、彼の初期作品「マイ・マザー」では母とのアンビバレンツな関係が描かれるが、今作もその流れにある気がする。
・母、ダイアン・デュプレは施設に入っていた息子、スティーヴが施設内で放火した事で放逐され、自宅に引き取るが、息子の多動性障害に悩まされつつも、明るく接する。
・そして、道の向かい側に住む神経症持ちの吃音の女性、教師で休養中のカイラとも親しくなり、スティーブもカイラに懐く。
3人は、親密になり、関係性が好転していくかと思ったが、スティーブが放火した事で大怪我をした息子を持つ親から多額の賠償金を求められて、スティーブはリストカットしてしまうのである。
■劇中、グザヴィエ・ドランの作品らしく様々なセンス良き音楽が流れるが、圧倒的なのはオアシスのワンダー・ウォールが流れるシーンである。
この名曲が、”字幕付きで”流れるシーンは沁みる。
”僕を救えるのは、君だけだから・・。”
Wonderwallは造語であるが、強いて訳せば文字通り”魔法の壁”である。
・そして、冒頭から画面のアスペクト比は1:1のように見える。窮屈である。それが再後半、あるシーンでワイドになるのである。
閉塞感からの解放のように見えるのである。
だが、多額の賠償金を求められるシーンから再び、アスペクト比は1:1に戻るのである。
<今作は、母が”魔法の壁”の如く、必死に息子を支える姿と、母が耐えきれずに施設に入れるも脱走し、自由を求めて再び母の元へ戻ろうとする息子の姿が沁みるのである。
尚、この解釈は私独自のモノである事を記す。>