ナイトクローラーのレビュー・感想・評価
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ビジネスで成功するには非情さも必要?
普段から、軽犯罪を侵しては 小銭を稼いでいるルー(ジェイク・ギレンホール)は、犯罪に対して余り罪悪感を持っていそうもなく、作品がどの様な路線で進んで行くか 序盤から予想出来る。
最初に出くわした交通事故現場で、撮影した映像をテレビ局に売る男と遭遇。これは金になると思ったルーは、家庭用ビデオカメラを片手に 事件現場を見様見真似で撮影していく。
しかし、ある日 テレビ局のディレクターにもっと過激な映像を望んでいる事を告げられ、それを実行すべく自ら事件の筋書きを作り、まんまと撮影に成功する。
どんな綺麗事を言っても、テレビ局側も視聴する側も、過激な映像を求めている事に間違いは無いし
その事が、いらぬ悲劇を招いている可能性も否定出来ないのではないかなっと思った。
人の死に対する痛みも、麻痺していくのだろうか…。
このクレイジーな主人公を、ジェイク・ギレンホールが怪演していて、なかなか面白かった。
ただ、観る人を選ぶかな?っと。
観る人によってはある種のバッドエンディング?
私的には、大歓迎です。
主人公のバッドエンドを強く望んだ
いやーほんと胸糞悪い主人公だった。
完全に狂ってるわ、ディレクターもだけど他人の不幸を喜ぶ下衆野郎
殺人犯と目が合ったが何故ルイスは撃たれなかったのか?あそこでルーの死によるバットエンドを強く望んだがスルーされ胸糞悪さ倍増した。
カーチェイスのとこは公務執行妨害とかで何とか逮捕できないんか!のうのうと生きてるのが腹立つー!
厄介な死神
面白かった。
さすが脚本賞を取っただけの事はある。
色々、道徳的には推奨できない事は多々あるが、プロとしては間違ってない。
むしろ、その境目とのせめぎ合いともいえる…。
その辺りを非常に軽々と超えていく主人公。たぶん、本人も自業自得であっても文句など言うまい。
そんな危なっかしい価値観に彩られてた。
人のダークサイドのような気もするが、そこに踏み込むだけの覚悟がないだけの事かもしれない…よ。
にしても、よく役の生い立ちから形成していけなんて事を言われたりもするが、ホントに同一人物とは思えないくらいで、生い立ちから別人のように思う。
海外の役者は凄いっ。
売り切るまで
面白かったなあ。
ジェイク・ギレンホール、悪魔的に素晴らしい。
—
パパラッチを突き詰めすぎて壊れてしまう人の話かと思ったら、最初っから、道徳観念のおかしい人の話だった。
刺激的な絵、視聴率、金、そして賞賛。
それらを身も蓋もなく追い求める主人公を、周りの人は恐れ嫌悪する。
でも、主人公が取ってくるものを、周りの人も欲していた。
主人公の悪魔っぷりは、彼ら自身の小さな欲望が、リミッターを外され肥大化し投影されたものだと気付いた時、恐れは更に増していく。
—
恐れていても、誰も彼に抗うことは出来ない。
アシスタントは、彼を嫌いながらも、彼同様に金が欲しい、そして彼を真似て駆引きをする。
女ディレクター(レネ・ルッソ)は、途中彼と一線を引こうとするが、間に合わない。彼に、いや自身の本能(刺激と成功が欲しい)に、ブレーキをかけられない。
レネ・ルッソがみせる、利用しようと思っていた相手にとりこまれ、「悪魔に魂を売り切るまで」の、恐れ→惑い→諦め→そして恍惚の表情が、素晴らしい。天晴れ。まさにノワール。
—
撮影ロバート・エルスウィット。『パンチドランク・ラブ』『インヒアレント・ヴァイス』などなど…。壊れたものの官能がしたたる。
ピカレスク。
日本にもあるのだろうか。フリーで犯罪や事故現場に赴いてカメラにセンセーショナルな映像を収めて、TV局に売るというような職業が。
日本では小さなケーブルテレビ局のようなところがニュースを扱うことがないように思うので、ナイトクローラーはやっていけないのでは。
主人公のルイス(ジェイク・ギレンホール)はふとしたことからナイトクローラーの存在を知り、初めは見よう見まねでやってみるが、当然簡単ではない。だが、才能があったのか、TV局のディレクター ニーナ(レネ・ルッソ)の目にとまり、頭角を表すようになる。
ルイスは他者に対して声を荒げるようなことがない。ニーナとの交渉にあたるときも、アシスタントのリック(リズ・アーメッド)を諭すときも。
より衝撃的な映像を撮るために、現場に手を加えたり、商売敵の車を細工して事故を起こさせたり。
銃撃事件からあとは、しめつけられるような感覚で物語を追っていた。こんなヤツは破滅するしかない。
ニーナは失脚する風だし、ルイスに逆らったリックは死ぬはめになる。だがルイスは。
ダン・ギルロイは「フィクサー」の監督トニー・ギルロイの弟で、兄弟ともに骨太な作品を手がけたことになる。
また、レネ・ルッソはダンの妻である。
ジェイク・ギレンホールをはじめとする役者陣も監督の要求にこたえて好演熱演であった。
面白かった
主人公が本当に虫唾が走る嫌な人間で、そんな猛烈に不快な人物を主人公にする肝の据わった映画だった。嫌な人物の割に正直者であり、熟女好きで憎めないところもあったけど、近くにいて欲しくない。双眼鏡くらいの距離感で接したい人物だった。
勝手なイメージで申し訳ないけど、主人公のキチガイっぷりに、池田小学校の宅間守をイメージしてしまった。
そしてとても面白かった。ジェイク・ギレンホールがこれまでどんな顔していたのか思い出せないくらい強烈な顔だった。
年間ベストの5位くらいに入れたい傑作。
情報化社会の闇から生まれた最低男
ジェイク・ギレンホール怖すぎ。
誰からも必要とされず盗みを繰り返しなんとか生計を立てている男。そんな男が偶然、出くわした事件を目撃したことにより悪魔へ変わる。
情報が溢れかえりテレビの視聴者は悲惨なニュースにも目が肥えてきている。そのためかより過激な映像を求め、常に新しい刺激を求め続ける。
助手として働いていた男は至って正常であった。それにも関わらず少し忠告しただけで映像のネタを引き起こすエサに利用されてしまう。
この映画を見てアメリカだけの話ではなく日本でも、いや世界中に入るかもしれないと思った。私達が普段接しているニュースの裏にはこのような闇が隠れているのかもしれない。
意識高い系
主人公はコソ泥をしその戦利品を売り込みながら、自分を語り自分を売り込み職を得ようとする、その姿は意識高い系と言うのだろうか。
けれど、彼は本当に学び成長してゆく、フリーのカメラマンとして事故、事件現場の凄惨な映像を売り込み欲しい物を手にしてゆく。
本当に勤勉なのだ、物語の始まりの彼は丁寧な行動とゆうか、愚鈍な融通の利かない無表情な動きだけれど、彼は動き出す明確な目的へ躍動的に動き出す。
観ていて無意識に彼が裁かれる事、暗く深い穴へ落ちていく事を願うけれど、彼はその淵をゆうゆうと歩くのだ
「行動の前に自問しろ」と学んだから。
主人公を演じるギレンホールは観るたびに表情が違う、この作品の予告を劇場で観た時には「ゾディアック」の頃の様な表情だなぁ。と、思っていたが全くの別人だった。
個人的には「プリンス・オブ・ペルシャ」や「プリズナーズ」の時の表情が好き。
異常なまでのコンプレックスが生む社会の病巣
予告編を見た時からかなり期待が高まっており、ハードルがあがりすぎていることに内心不安もあったのだが、いい意味で期待を裏切られた。世界観に完全に引き込まれた。人々の破滅の瞬間に現われるギレンホール演じる主人公のルーは、その不気味な外見もあいまって、さながら死神のようだった。病的なまでに彼を突き動かすのは、己に対する異常なまでのコンプレックスである。相棒のリックに対する見下した態度は、学歴もなくコソ泥のようなことをしてきた自分に対する周囲の冷ややかな態度から、20歳以上も歳の離れているだあろうTVディレクターのニーナにビジネス以上の関係を求めるのは(それは劇中では全く描かれていないが)彼の家庭環境、特に母親へのコンプレックスからくる反動のように思えた。
また一部を除いてルーの撮影したリアル「すぎる」映像に誰も不信感を抱かないことに、TV業界の怖さも感じた。
サイコパスという成功者
これ見て思い出したのは、「サイコパス」の中には優れた経営者もいる、という話。他人に対する共感能力は著しく低いが、他人の気持ちを読み、弱みを見抜き、人を操る才能があるという。
主人公は異常には違いないが、こういう人間は実際に「いそう」だし、またこういう人間が実際に社会で成功するんだろうな、というところが、現代社会の歪みが凝縮されたような映画だと思う。
大作のアクション映画とは全く違うテイストだが、アクションやスリラーの緊迫感はこちらの方がはるかに上で、ほとんど最初から最後まで気が抜けない。
このような話にありがちな、
主人公の行動が次第にエスカレートして、あるとき一線を越え、破滅の道を突き進む
というものとは「違って」いる。
主人公の行動はエスカレートしているのではなく、はじめから最後まで一貫しており、一線を越える行動をとるところでも迷い、葛藤、後悔は全くない。また、最後に主人公が破滅して終わることを様々な伏線で期待させておきながら、結局彼の未来に渡る成功を予感させるところで終わっている。
勧善懲悪にしないのは、現代を風刺する意図を明確にしたいからだろう。
様々な問題提起がある。
テレビのニュースというものは、結局視聴率狙いになっていて、また作り手の意図に沿った内容になっていること。
裕福な白人が貧困層や有色人種に残虐に襲われる事件を選んで報道していること。
ニュース番組やテレビ会社が倫理を厳格に守っているように装っている一方で、映像素材を撮っている方に汚れ仕事が押し付けられていること。
一般視聴者は、結局政治や経済の話よりも、ショッキングな犯罪の映像に興味を持つこと。
ベンチャー企業の社長がインターンと称して新人をタダ働きさせたり、それを精神論で正当化させている状況など。
こうした様々な歪みは、それぞれの立場や現場の人間が単に彼らの中でのベストを尽くそうとした結果に拠っているのであって、誰か特定の悪人がいるわけではない、ということも。
より根本的な問題提起として、この社会における「成功」とは、古典的な意味での良心や倫理感を捨てることなのではないか、ということ。
主人公のパートナーは、成功者としていそうな主人公の人間像と対比して、失敗者としていそうな人間像として、明確な対照になっている。
目先の利益しか考えられず、将来の目標や向上心がなく、自分の能力のアピールもできない。世渡りのための嘘が下手。言い訳ばかりで解決策を提示しないこと。犯罪に手を染めることには臆病だが、それは良心というよりは、単に自分が犯罪者になるリスクをとりたくないから。一旦主人公の弱みをにぎったら、態度を豹変させて強請ることもする。
大勢のパートナーのような凡庸な人間が、一部の主人公のような目標に向かって突き進む人間に支配されている、というのがこの社会なんではないか、と思わせる。
主人公の目的は、結局、社会的に成功する、ということに尽きるのであって、実は報道には何も理想を持っていない。そこに寒々としたものを感じる。
この社会を動かしている、いわゆる「できる」人間といわれる人達の正体がこのような人間ばかりだったとしたら…。
イライラ&モヤモヤ
序盤のコソ泥の時のから悪い意味で勘違い野郎な主人公が助長して行く。
それは違うだろ感からくるイライラ&モヤモヤを感じつつ、映画の中のニュース映像に興奮している自分に気がついた。完全にひき込まれてるw
終盤にかかる前に少しもたつきはあったけど、全体的なテンポは良く、賛否ありそうな中途半端なラストも個人的には悪くなかった。
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