ナイトクローラーのレビュー・感想・評価
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想像の範囲内
予告編を何度も見たら、観たくて仕方なくなり、期待して観て、期待は外さないものの感銘を受けるには至らなかった。
ただ、ジェイク・ギレンホールの演技が何をしでかすか解らないルイスになりきっており、ろくでもないこそ泥から違法スレスレ(違法とは思う。)の特ダネ撮影会社の社長(笑)になるまでの流れは見入ってしまう。
明らかに悪人で正直、側に居たら不安になるような男の話を見入らせる力がこの作品にはある。
しかし、海外のNEWSが悲惨な映像を流すのに、いちいち予告して流しているのは本当なのだろうか?
一瞬、日本もそうしたら?と思ったが見たがるだけの傍観者って質が悪い。
ルイスの持ち込んでくる特ダネに対する嫌悪感と相対する好奇心は誰にでもあると思う。でも要らぬ好奇心で他者の痛みを覗き見るなんて最低な行為ってのを伝える意味もあったのだろうか?
とりあえず、気になった方は勢いで観たら良いかと思います。
期待度は高かったのだが...
倫理観を失ったニュース映像撮影・提供の仕事を始めた若者が、狂気にのめり込んでいく様に焦点を当てたら面白い映画がつくれるというシンプルな発想で作られた作品と感じた。
期待度はとても高かったのだが、そこまでではなかった。
でも自分の雇ったスタッフに対するパワハラ的接し方は、自分の現実とクロスし、倫理観が欠如している人間が平気でパワハラできるのだなと、とてもリアリティーを感じた。パワハラ上司に反撃できる方法を示してくれれば私的には最高評価だったのだが...
そんな人間こそ世の中にはびこっていくのだということを暗示していて、それも恐怖と嫌悪の度合いを高めているんだな。
失感情と承認欲求は社会の歪みと相まって狂気を成す
サイコパスが主人公の映画だが、主演男優の演技の素晴らしさにより、その思考や感情が非常に生々しく感じられる。また本来は忌むべき主人公の行動に対しても、演技の自然さや物語の流れの見事さゆえに、不快感や恐怖を感じずにスムーズに受け入れることが出来る。物語として面白いだけでなく、非常に示唆に富む作品。
一般的にはサイコパス=反社会性という認識だが、彼らがみなすべからく反社会的行動を行うわけではなく、持って生まれた失感情的な性質に、後天的な環境因が加わることで反社会性が顕在化する。
高い知性と行動力を持ちながら社会の中で役割を得られず不遇をかこっている主人公が、人々の持つ歪んだ欲望や社会が孕む病理と相互作用することで起こる悲劇の連続に、しかし我々はさほど違和感を感じないのではないだろうか。
オウム真理教のようなカルトや自称イスラム国のようなテロ組織に、能力ある若者が与する構図と、本作の主人公が犯罪行為に手を染めていく過程は重なって見えるように思われるからだ。
もちろん彼ほどのサイコパスは、仮に犯罪集団に加担する者たちの中でも多くはないだろう。しかし社会に組み入れられず、社会的存在としての自己をつかめずに喘ぐ若者が、怒りや恨み、あるいは承認欲求に支配されることで感情的に盲目となり、何者かの欲望に取り込まれて狂気を働くという現象は、まさしく本作のような形で実現しているのではないだろうか。
The question is what I want to do. ジェイク・ギレンホールの怪演が光る傑作
見終わった後にズシリとくる映画でした。いやー、スゴい物を観た。
とにもかくにもジェイク・ギレンホールがヤバ過ぎです。あの目付き。痩せてギラギラしていて、ちょっと猫背で、人を不安にさせる外見を持ちながらも、論理的に喋って相手に反論させない。パートナーであっても必要ならスクープのネタにする頭のキレ。本当にこの人サイコパスなのではないかと思えるぐらい役にハマっています。
主人公ルーが自分がやりたい事を見つけ才能を開花させていくサクセスストーリーでありながら、主人公のサイコ過ぎてて全く共感ができないキャラクター。人から認められる為に平気で人を犠牲にできる狂気。ルーは良心の呵責が全くなく本当に胸くそ悪い人間ですが、こういう人間こそが成功するという話には妙に説得力があります。そんな誰からも嫌われる人間を見事に演じきっているジェイク・ギレンホールに拍手です。
見終わった後に何も考えられなくなるほど飲み込まれる作品でした。
クズのやり口。
とにかくこういう映像は見る者がいなけりゃそうしてまでは撮らない。
つまり撮る側と買う側のモラルの欠如を問うばかりではなく、一番の
お得意様は私達視聴者なのだとまざまざと見せつけてくれる問題作品。
しかし面白かった!この醜悪な主人公のクズぶりをここまで体現して
なお気分悪く終わらせるという絶妙な演技のギレンホール氏が最高!
プロをも騙す素人のやり口の汚さと狡猾さに舌を巻き、その悲劇から
大金をせしめて他人の不幸を晒し物にする良心のなさに脱帽さえする。
こんな奴にスクープ撮らせてたまるか!なんて思いながら、この現場
はどんな風に編集するんだろう、なんて思わされるからもう堪らない。
いやいやいや…実際に行われていることまで想像できちゃうのが怖い。
新しい感じ
サイコパスのサクセスストーリー、主人公のクズっぷりが気持ちいいほどだった。
勤勉だし、仕事に対する熱意もあるし、身なりも部屋も綺麗にしてるし、社交性もあるんだけどサイコパスっていう、他に見たことがない感じの人物像で新鮮だった。でも実際いたら絶対近付きたくないと思った。
テンポが良くて、画面の緊張感もずっとあって、全く飽きるところがなく終わって、見終わるとスッキリ爽快な気分になった。
実際起きていることのどうしようもなさに反してなんだかいい感じの曲が流れていたりして、主人公の中ではいい感じのシーンなのだろうけど、全く感情移入出来ないんだけど、安全なところから眺めているような感じだった。
ギレンホールがほんと凄い。
面白かった!
この面白さは高揚か戦慄か今いる現実への嘲笑か。
渋谷アップリンク見逃した映画特集でジェイク・ギレンホール主演「ナイトクローラー」鑑賞。
コソ泥がニュースのスクープカメラマンとしてのし上がり力を得ていく物語。
映画批評のライターが「ブラック時代の成功マニュアル」と書いていたけど、その通り。
映画館から出てくる青年二人が「面白いんだけどさー、胸糞悪いよねー。」って会話していたけど、それがこの映画の本意で、三面記事の凄惨さに見入ったりするけど、空っぽで何も残らない。
ジェイク・ギレンホールが演じた、形振り構わない経営者なんて、もうそこかしこにいる。そういう時代でくる所まで来始めているから、そろそろ目を覚まして、違う方向に行けないだろうか。今はどれだけ頑張っても空虚な物しか残らない。
ジェイク・ギレンホールが好きな俳優さんで演技が評判だったから観に来たけどとても良かった。
この映画で描かれる主人公やマスコミの行為は不快で不気味で非道徳的で...
この映画で描かれる主人公やマスコミの行為は不快で不気味で非道徳的である。でも主人公は需要に応えているだけ。本当に一番恐ろしい存在は映画で直接描かれていない「センセーショナルな映像を見たいと欲する視聴者」。そこに気づくと何とも言えない気分になる。
悪寒が止まらなかった
「人の破滅に俺は顔を出す」っていうようなセリフを主人公が言ってたけど、お前が早く破滅しろと思わずにはいられなかった。鑑賞中も主人公の狂人っぷりにずっと寒気がしてました。こんなに背筋が寒くなった映画は久しぶり。下手なホラーよりずっと寒くなる映画でした。
我々は今、デストピアを生きている。
格差が開き、決して抜け出ることのできない社会。
地域や国家などの公共に対する責任を考えない社会。
短期間で結果を出し、そのことでしか評価されない社会。
例えば「太陽がいっぱい」や「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」とは
全く異なる無自覚なる犯罪者。
果たして自分が完全にそうではないと言い切れるのか?
89点。
クレイジー
主人公を演じるジェイク・ギレンホール。他の映画では脇役であまり目立ちませんが、今作品ではかなりのハマリ役だと言っていいでしょう。
ダークヒーローってなんだかんだ愛着が湧いたりするものですが、映画を観ていくにつれて、どんどん嫌いになっていきます。
ただその役作りが見事すぎて、今作品はギレンホールの代表作の1つになりうるでしょう。
最後はここで終わるのかとやや物足りない気持ちになり、そこがわずかながらマイナスポイントでしょうか。
マッサージ
今年のベスト更新来たかも。
主人公のサイコっぷりは、タイラー・ダーデン以来の衝撃的なアンチヒーローの誕生を思わせた。
見る前は重厚で重苦しいスリラーかと思っていたが、いや確かに雰囲気は重苦しいんだけども、その重苦しさを主人公のぶっ飛んだクレイジーさがある意味コメディレベルにまで突き上げてる。
終盤の助手の一連の流れはあまりに衝撃的で不憫だったが、それすらもどこか当然の仕打ちに思わせる一貫した狂いっぷりが気持ち良いとまで思わせられた。
レネ・ルッソも負けず劣らず狂ってて、もう笑うしかなかったよ。
こんな世界屈指の、どブラック企業に就職した3人が可哀想でしょうがない。
悪い奴なのに眠らない
全編に渡って物語のバックグラウンド(というか主役?)となるLAの夜の艶めかしさよ。『ドライヴ』『アウトロー』に比肩する素晴らしい撮影。これだけでもうお腹いっぱいなのにジェイク・ギレンホールの怪演によって本作は唯一無二のものになっている。悪い奴なのに眠らない…
報道のあり方を問う社会派サスペンスとして観るのが正しいだろうけど俺は仕事映画としても観た。そうなるとなんか説教されよるみたいでちょっとしんどかったな…意識低いゆとり世代の僕です
ちょっとGTAっぽさもあったな
ジェイクになりたい
なんだろうか、チューインガムで痩せたジェイク・ギレンホール、もはや最初から不気味でやつていることが人間ではない。
しかしながら、彼の演技力は凄すぎる。
これは、ジェイクにしかできない役柄である。
不気味、気持ち悪い、という評価が多いが、彼のファッション、髪型はなぜか素敵に見える。
発狂するシーン、なぜか1人で大笑いするシーン、何においても完璧である。
年上の女性が好きなんだ。と上司に迫るシーンや、その女性に俺は仕事ができる、こないだ焦らしやがって、とか言うシーンもあるが、それさえも魅力的に見える。
とりあえず、今年一番の映画であることは間違いなし。観るべき映画である。
夜を這い闇を食む
“ナイトクローラー”とは、むごたらしい犯罪や事故の現場にいち早く駆け付けて撮影し、
その映像をテレビ局に売り込む者たちの俗称なのだそうだ。
視聴者の食いつく刺激的な映像であるほど、映像の値も上がる。
映画に登場するプロデューサー・ニーナの弁を借りれば、
「被害者が富裕層の白人で、犯人が貧困層やマイノリティならなお良い」。
ケチな仕事で生計を立てていた主人公ルー・ブルームは、たまたま
居合わせた事故現場でその商売を知り、自らもその世界に足を踏み入れる。
初めこそ見よう見まねで仕事をしていたルーだが、極めて貪欲で
手段を選ばない彼は、その業界でみるみる内に頭角を表していく。
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警察無線を傍受し、血生臭い現場を求めて夜の街を疾走するルー。
屍肉の臭いを嗅ぎ付けて血眼になる姿はさながらハゲワシだ。
最初に頭に浮かんだのはハイエナだったが、ハイエナは群れで動き仲間意識も強い。
ルーは違う。全く違う。
細長い体躯にぎょろりとした目玉、常ににやにや笑いを貼り付けたこの男は、
薄気味悪くは見えるものの、腕っぷしは強く無さそうだし、フランクで饒舌だし、
パっと見はよほど危険な人物には見えない。
だがその実、映画冒頭のような唖然とするような真似を平気でやってのける男であり、
協力してくれる人間さえも脅し嘲り罵り骨の髄までしゃぶり尽くすような男である。
1シーン、たったの1シーンだけ、彼が激昂するシーンがあるが、
そのゾッとするような剥き出しの怒りは忘れ難い。餓鬼さながらのあの表情!
彼は……なんと言い表せばいいか……
ちょっと手を伸ばして醤油の瓶を取るような感覚で、
相手の顔面を殴って財布を持ち去るような、そんな感じの男。
彼にとって『欲しいものを手に入れる』のは至極当然の事で、その為に他人が苦痛を被っても
気にも掛けない。いやむしろ、それを必要なプロセスだと考えている節さえある。
同情とか憐憫とかそういった感情が、彼からはごっそり欠如してしまっているのである。
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他人の不幸を食い物にするこの業界において、ルーの特性はまさしく天賦の才だった。
彼は他人のテリトリーを易々と侵し、誰の死も気兼ねなく撮り、より大きな獲物のために平然と他人を犠牲にする。
おまけに彼は勤勉だ。ネットや協力者から得た情報をスポンジのように吸収し、
知識として巧みに使いこなす……特に他人を懐柔あるいは出し抜く手段として。
そんな危険極まりない人間が、この映画で描かれる世界ではヒーローとなる。
人の死を苦痛を食い物にすればするほどに持て囃(はや)され、金と名声によって
さらなる装備とバックアップを手にし、より多くの屍肉を求めて這い回る。
この男はとんでもなく狂っているが、それを是として崇める世界も同じくらいに狂っている。
まあ、モラリストぶって話す自分自身、
『世界の衝撃映像スペシャル』みたいな番組はついつい見てしまう人間である。
内にある暴力衝動なのか、はたまた薄れかけた生存本能を刺激されているのか、
遠回しであれそういうビジネスに荷担している一人なのかもしれないと考えると……ううむ、複雑。
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本作を傑作『タクシー・ドライバー』と比較する向きがあるが、正直、同じくらいに薄気味悪かった。
ジェイク・ギレンホールの名怪演に圧倒されっぱなしの118分間。
後ろめたい衝動を刺激するアンダーグラウンドな世界、そして、
社会に交じるには危険過ぎる人間を助長させるような土壌、
それらを垣間見られる不気味な傑作。
自分がどんな死に方をするか分からないけれど……こんなトチ狂ったハゲワシの、
大きく冷たい瞳孔に見つめられながら死ぬのだけは御免被りたい。
<2015.10.18鑑賞>
報道から見た資本主義
結構期待して観に行ったのですが、期待を裏切らない凄いストーリーでした。物語が進むにつれて主人公がどんどん狂っていく姿が非常に緊張感をそそるものでした。最後の方の主人公の行動はさすがに衝撃を受けてしまいました。
また、主人公や周りの人物が視聴率や利益にとらわれていく姿を見て、報道という立場から見た資本主義の危うさをじかに感じることが出来てできて非常に良かったです。
この作品には非常に感銘を受けました。満点の5点とさせていただきます。
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