「異常なまでのコンプレックスが生む社会の病巣」ナイトクローラー ryo3988さんの映画レビュー(感想・評価)
異常なまでのコンプレックスが生む社会の病巣
クリックして本文を読む
予告編を見た時からかなり期待が高まっており、ハードルがあがりすぎていることに内心不安もあったのだが、いい意味で期待を裏切られた。世界観に完全に引き込まれた。人々の破滅の瞬間に現われるギレンホール演じる主人公のルーは、その不気味な外見もあいまって、さながら死神のようだった。病的なまでに彼を突き動かすのは、己に対する異常なまでのコンプレックスである。相棒のリックに対する見下した態度は、学歴もなくコソ泥のようなことをしてきた自分に対する周囲の冷ややかな態度から、20歳以上も歳の離れているだあろうTVディレクターのニーナにビジネス以上の関係を求めるのは(それは劇中では全く描かれていないが)彼の家庭環境、特に母親へのコンプレックスからくる反動のように思えた。
また一部を除いてルーの撮影したリアル「すぎる」映像に誰も不信感を抱かないことに、TV業界の怖さも感じた。
コメントする