バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)のレビュー・感想・評価
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才能と狂気の狭間を連れ回される
この舞台に再起をかけるリーガンの煮詰まり具合を、寄り道しながらニヤニヤしたり息を呑んだりしながら間近で覗き続ける、とても奇妙な感覚でした。
あっという間に虚実ないまぜの世界へ、劇場で観れて本当に良かったです。
人や物事との距離感の変化で、彼の"心"に同行しているのがわかります。結局のところ、本当に向き合うべきはそう多くない、演劇評論家との対決は興味深かったです。
主演のマイケル・キートン、助演のエドワード・ノートンはじめ、絶妙のキャスティングが大成功。エマ・ストーンは、ただいま絶好調ですね。ザック・ガリフィアナキスにも驚きました。
どうしても成功したい大舞台の前のぐちゃぐちゃな感情も周りの混乱も、案外他人ごとでは無いから引きずり込まれるんでしょう。まあ、こんなに過剰で大ごとじゃないにしても。
なにぶん、才能と狂気の狭間を呆気に取られて連れ回されていた感じなので、もう一回もっとじっくりと観たいです。
ぎりぎりの人たち
ギリギリに追い詰められた人間のギリギリな精神状態とは?
バードマンはそれを問うた作品である。そんなものが日常的にある商売として演劇を選んだ。
映画というものは、やり直しがきくが、演劇が常に一発勝負。逃げも隠れもできない。演劇だけでなく、Liveというものはそういうことだ。本番前の気分ったらちょっと言い表せないものがある。稀代の傑物といわれるロック歌手のロードは、いつも吐きそうになるというし、飄々としたベテラン歌手のさだまさしも、いつもその場から逃げ出したくなると言っている。
かくいう僕自身、大きなプレゼンがあるときは絵もいえない気分になったものだ。でも、それが忘れられないんだよね。
そんな極限的な人間を癖のあるというか、芸達者な俳優が演じている。主人公の元バードマン、この芝居に自分の全財産も賭けた男にはマイケル・キートン。才能はあるが一癖もふた癖もあるライバルにはエドワード・ノートン。劇中の浮気妻にはナオミ・ワッツ。ちょっと変わった娘にエマ・ストーンとなかなかの配役だと思った。
さらにこの映画の特徴は、男の心理状態に合わせていろんなものが浮遊するのだ。建前で修めたいのに、見たくない本音を露骨に吐露する男の影絵バードマン。何もかにも投げ出したくなるときには、みごとにモノを破壊してくれる超能力。知らず知らずのうちに大勢の観客に見られているシチュエーション舞台。
どこまでがリアルなのか、どこからがウソなのか。混沌とさせられる映像でもある。
作品賞、監督賞、脚本賞、撮影賞4部門のアカデミー賞を獲ったというのも、いまになるとうなずけるものがあるのだが、書く前は僕の頭も混とんとしていて、どう評価していいのかわからなかった。このアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥという監督は僕のフェイバリット作品である「21グラム」を撮ったひとである。胸をかきむしられるような映画だったのだが、今度は頭の中をかきむしられたようだった。
新しい技術が詰まってる。
映像美が斬新!
理解したつもりだが、はたして…
本作を、一度の鑑賞で理解するのは難しい。
(それは、どの作品にも言えることではあるのですが…)
めまぐるしく動く視点の中で、映し出される情報量の多さ。
登場人物たちのダイアローグの複雑さ。
現実と虚構の境い目の不確かさ。
幾重にも張られたメタ構造への解釈。
本作2時間の鑑賞の中で、
そういった作品内の訴えをどう咀嚼し、どういったテーマを感じ、読み解くことができるか。
人間のエゴ
エゴ同士の摩擦でしか交流を持てない人間たちへの慈悲
と、同時に
ハリウッド資本の映画業界へのアンチテーゼ
ハリウッド大作を見慣れてしまった観客への警告
そういった表面的な部分は理解したつもりになれるが、
もっととてつもない何かを読み落としてないか、と慎重になる。
いや、もしかしたら「無知がもたらす予期せぬ奇跡」というタイトル通り、
映画通ぶった読み解きなどせずに、直感的に感じ取ったものこそ、この映画の真髄なのか。
そんな勘ぐりすらしてしまうような、難解で痛快な作品でした。
ぜひ映画館で、どっぷりと浸かっていただきたいです。
モヤモヤば~どまん
アカデミー作品賞、監督賞を含む4部門受賞作。
作品に与えられた賞は、期待値を上げてしまうという点がどうしてもある。オスカーゲット直後の公開ということでハードルは上がった。
正直なことを言うと、作品賞は過大評価では?という印象。
実験的ともいえる作風で一般的とは言い難い。ワンカット(に見える)カメラワークという凝った演出。それを飽きさせない映画的飛躍もあり。
しかし、しかし…。ラストも含めモヤモヤとした鑑賞感。実にすっきりしない。映画と演劇界の関係も詳しくないのでピンとこなかった。(メッセージ性がわかりにくい)
役者はみんな良くて(特にノートンの存在感!)演技を見るという点からは満足できましたが。
深い解説があればまた違って観れるかもしれませんが好みではなかったですね。
喜劇だったの?
うーん…
かなり評価が分かれるといいますか、なんとも言い難い作品です。キャストもみな素晴らしいですし、音楽にも酔い(いい意味で)1カットのような編集にもグイグイ引き込まれていくが観賞後に「いや〜良かった」とは思えず「んん???」という感じになってしまいました。おそらくあの1カット風の感じが自分の中でモキュメンタリーと処理してしまいマイケルキートンの能力(妄想?)や最後のエマストーンの目線&表情に矛盾を抱いてしまい結果なんとも形容しにくい作品になってしまったのだと思う。
ただ悔やまれるのが昼間に1人で観に行ったこと。この作品は映画通?映画好き?のグループ3名以上で観に行ったらその後の酒の席では最高に議論できてお酒が進むことうけあいでございます。
シームレスなカットもドラムも役者も皆凄いけど
業界楽屋ネタは一般人の私には入り込めず。
そもそもアイアンマンやX-MEN、スパイダーマンの方が好きだし!
バードマン≒バットマンってことか
最後は飛んでいったのかな~、浮いてたのかな~
未来志向で
真実か挑戦
「なんてな笑」
バットマンリターンズの続編
承認欲求が導いた次のステージ
所謂「嘗てハリウッドでの名声を全身余すことなく毛穴に入り込むまで浴びた俳優が、今は落ちぶれ一歩手前である自分自身を、再び栄光のステージへと上がらせる為の、最後のバクチを打つ」的な内容でございます。要約するとそんなお話ですかね(あんま要約してないか)。
そんな男の数日間(十数日?)を、全編長回しワンカット(ぽく)で追い続けるっつー非常にチャレンジングな映画です。
いやぁ、んー。つか、観ててめっちゃしんどかった。
色々しんどかった。まずマイケル・キートン演じるリーガン・トムソンの承認欲求の塊のような行動原理。また有名になりたい!返り咲きたい!と恥ずかしげもなく元妻に言ってしまえるほどにその欲求が大きい。だけどヒーロー映画『バードマン』で主役だった過去の黄金時代も同時に否定しているという。『バードマン』あっての名声だったのに、『バードマン』は否定する自己矛盾。このくすぶった現在の自分から脱却したい!最後の賭けはブロードウェイの舞台だ!という、リーガンから漂う尋常じゃない焦燥感。焦り。これがまずしんどい。
彼を取り囲む人間模様なんか、かなりキツイでしょ。主にエドワード・ノートン演じるマイク・シャイナーの存在がやば過ぎるでしょ。この自分大好き糞野郎の身勝手行為に振り回されるリーガン。そして利用されるリーガン。統合失調症気味なリーガン。お金のないリーガン。娘が言うこと聞いてくれないリーガン。セフレが妊娠しちゃったリーガン。批評家に拒絶されるリーガン。リーガンがどんどん追い詰められていく。それを無慈悲にワンカットで追っていく訳ですよ。そりゃあしんどいでしょ。彼の見てる幻覚(?)までもどしどしワンカットに取り入れたりして。いやしんどいしんどい。
「ハリウッドの現状に対する嘆き」「ヒーロー映画への皮肉」な要素、テーマ、メタファー(的なもの)なんかも入ってるんですけど、まあそこは自分にとっては、んー、何でしょ。あんまりピンとこなくて。
このリーガンという男はちゃんと独り立ちができるのか?と、鑑賞中はそこばっか気になっちゃって。まあね、あの衝撃(?)のラストに若干、心モニョらせつつ、劇場を後にしました。
つかああいうラスト、卑怯です。全編しんどくて、モニョった映画でした。
男の裸ではオスカーは獲れないのか
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