「レイモンド・カーヴァーのような」バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡) 明烏さんの映画レビュー(感想・評価)
レイモンド・カーヴァーのような
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まさにレイモンド・カーヴァーの小説みたいな映画。
これを1度観て絶賛する人は、芸術家か芸術家になりたかったがなれなかった批評家だろう。なんて。
正直自分は腹落ちしなかった。結果3回観たけどまだ意味が腹落ちしていない。
撮影や編集は一見してわかるくらい凄いけど、なんせ構造がややこしすぎる。
玄人向けというか、批評家のウケを狙って撮られたかのような映画で、そんな風に作品の印象を形作っているのもおそらく意図的。そもそもこの映画自体がリーガンの葛藤のメタファーなんじゃないの。
一般人的には、そりゃあ小難しい演劇よりはロバートダウニーJr.がブリキを纏った映画とか、トランスフォーマーやバットマンみたいなのがウケるのが世間だが、リーガンはそんなもの達と(バードマンとも)決別し、役者として名声を得たい。
けど、結局自分の力量不足で芸術家にも批評家にもなれず、一般ウケする役で掴んだ栄光や愛も過去のものになり、SNSも使えなくて誰かに承認されたくてもされるきっかけもない。そう、まさに「存在しないのも同じ」。
理想と現実、客観と主観、個人と社会、自分と他人、色々な軋轢にやられちゃって、グロッキー状態になっていくリーガンを見ているとやりきれない。
マクベスの一節からの流れが非常に印象的だった。
この映画、難解ではあるけれど、誰でも人生でこれに近い葛藤というか、苦悩に出会う事はあるんじゃないかなぁ。
自分の過去や理想ときっぱり決別しようと思ったら命かけるしかないよね。
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