「まず、映画館の巨大スクリーンと大音量で観られたことに感謝。同じアイ...」アメリカン・スナイパー Chisaさんの映画レビュー(感想・評価)
まず、映画館の巨大スクリーンと大音量で観られたことに感謝。同じアイ...
まず、映画館の巨大スクリーンと大音量で観られたことに感謝。同じアイスティーとポップコーンつまみながらの鑑賞でも、この内容だと家と映画館じゃ雲泥の差。
結末を知った上で観た。最後のシーンを映像ではなく字幕で終わらせたところ、すごくいい終わり方だったと思う。この映画が伝えたいのはクリスの自伝の内容だから、その最期を映像にする必要はない。特にアメリカ人にとっては、絶対的なヒーローの死なんて見たくないはず。
この全てがつい数年前の出来事だっていうのが信じられない。
でもさ。
大学生だった私が「卒論まじだりィ」とか言ってたいして煙草も吸わないくせに喫煙所にたむろっていたあの時期に、クリスの部隊はイラクに行っていたのだということ、
さらに、
妊婦真っ盛りだった私が「あーお腹重いまじ仕事だりィ」とか言っていたあの時期に、まさにクリスは撃たれてしまったのだということを、
現実として考えると、
今日この映画を観てどれだけ心が動いたとしても、戦争の恐ろしさや家族の大切さがどれだけ身に染みたとしても、
根本にはどうしても「所詮他人事」という発想がどんと鎮座していて、だから今ここに何を書いたとしても、白々しく聞こえてしまう感じがしてしまって。
そういう点で、内容云々より、むしろ、
自分の平和ボケさ加減とか、
己の日々の生活にしか興味がない世界の狭さを、すごく感じた。
・・・っていうところもまた驚くくらい自己中心的で視野が狭くてやんなるけど。
クリスは真っ直ぐで強い人だったと思う。
仲間の何人かが戦争という混沌の中で自信を失いかけたときも、彼だけは自分がやっていることは正しいと疑わなかったし、
PTSDだってそう簡単に乗り越えられるようなものじゃないのに、医者や周りの人に意見を素直に聞いて、順調に回復した。
普通の人はなかなかそこまでうまくいかないよ。
伝説と言われた過去を、捨てないまでも「過去」として現在の自分からは切り離して、今の生活でできることをしようという姿勢が本当にすごいと思った。
他人や過去の自分と比べるんじゃなく、今の自分を少しでも良くしていこうという地道でポジティブ真っ直ぐさが大事なんだよな。
そんなことを思ったのでした。
しかしブラッドリー・クーパーでかくなったな。映画観てる最中、「屈強」っていう単語がずっと頭の中に浮かんでた。