「エンタメと社会性の両立をなす映画」アメリカン・スナイパー 夢見る電気羊さんの映画レビュー(感想・評価)
エンタメと社会性の両立をなす映画
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スナイパー戦として思い出すのは、『スターリングヤード』。これもまた敵スナイパーとの戦いが手に汗を握る作品となっているが、この映画でも同様の構造を持っている。
しかし描かれるのはそうしたことよりも、実は戦争によって人間の心が次第に壊れている過程である。PTSDと呼ばれる戦争の後遺症である。
戦争という異常な生活と、それと対比して平和な日常。主人公であるクリスカイルの心が次第に壊れていく様を見せていく過程は非常によくできている。
9.11とイラク戦争は実際は何の関係もないのだが、この映画では、さもその繋がりがあるかのように見えてくるので、イラク戦争賛歌のように見える。だが、クリントイーストウッド自体はイラク戦争を支持していない。どちらにもよらず、戦争に参加した人をありのままに描いただけなのだ。
だから、これを見て何を感じるかが重要だ。僕は、戦争という行為の持つ非人間化、残酷さをえぐり出している怪作だと思った。
ちなみにだが、米軍視点なので、米軍の苦労はクローズアップされるけど、現地のイラク人からしてみれば、勝手にやってきた米軍が勝手にPTSDになっているに過ぎないと思っているのでは?と思ってしまう。
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