「正解が何か分からないけど…」アメリカン・スナイパー KZKさんの映画レビュー(感想・評価)
正解が何か分からないけど…
2ヶ月ぶりの映画館復活の記念として、この作品がスケジュールにあった為久しぶりに鑑賞。
何度見ても臨場感溢れ、作品の世界観に没入できお気に入りの作品の一つである。
この作品に関しては映画館の大スクリーンで観る事が個人的には好きである。
同時にこの作品を何度も観ても自分の中の確固たる答えが分からない。それが何度も観たくなる事にも繋がるのであろう。
クリスは決して復讐心に囚われて戦場に足を運ぶ訳ではないのだろう。身近な仲間を奪われ衝動に駆られる事は一時的にあってもやはり国を守る使命感や責任感が人一倍強いからこそ、平和を掴みとるまで何度も何度も戦場に足を運んだのだと解釈している。その平和とはアメリカ国内だけでは、敵対するイラクやその周囲の国、もっと言えば世界が平和になる事を実感できるまでその責任感や使命感に囚われていたのかもしれない。
終盤にタヤが戦う事は他の人に任せて家族の時間を大事にして欲しいという言葉にピクリともしないクリスの姿がそれを物語っていたと僕は感じた。
もちろんタヤや子供達の事を考えてないわけではない。直接的ではないにしても彼らの未来を守る為にも戦場に足を運ぶ事を決断し続けたのであろう。
ここまで観ていればもちろん戦場に挑み続けたクリスの勇姿は正しかったと確固たる気持ちでいつも観る事ができる。
ただ最後は同じくアメリカの為に戦って心身共に負傷した元軍人に殺されてしまう訳だ。ここでいつもなにが正しいのか分からなくなってしまう。
クリスは天国で何を思い僕たちに何を伝えたいのか聞きたい気持ちにいつも駆られる。
それほど毎回僕は無念な気持ちで一杯にさせられる。
この作品に限らず戦争は勝ち負け以上に失うものが多い事はどの作品を通しても感じる事はできる。この作品もまた同様である。
戦争が良くない事は誰しもがわかっていることではあるが、こういう作品を通して戦争がもたらした色んな不幸を実感、共感し、戦争だからと片付けるのではなく身近な小さな争いから根絶し平和な社会を築き上げる一員でありたいと心から強く思う。