「長年に渡る敵狙撃手との戦いが嘘臭いが、戦場の描き方は質が高い」アメリカン・スナイパー Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)
長年に渡る敵狙撃手との戦いが嘘臭いが、戦場の描き方は質が高い
クリックして本文を読む
総合:80点 ( ストーリー:70点|キャスト:75点|演出:85点|ビジュアル:80点|音楽:70点 )
戦場で続く緊迫感と臨場感が高い品質の演出で描かれていた。戦闘の危険は勿論のこと、戦場の経験からくる湧き上がる兵士の感情までが良く表現されていた。
一方で『スターリングラード』を思わせる敵の狙撃手との数年に渡る因縁の戦いはやらせっぽいなと思って調べてみると、やはりこれは真実ではないようだ。特に姿を隠すことに気を付ける狙撃手をあっさりと見つけてしまい、砂嵐が近づき恐らく強風も吹いている中での超長距離狙撃は嘘くさく安っぽい。無理やり悪役を作った印象を受ける。
また家族との諍いを通して、兵士と家庭人である自分との葛藤も描いている。どんな兵士も1人の人間であるということを浮き彫りにしているが、PTSDの描き方は平凡だった。
その戦場の後の話が結構長いのだが、彼が死んだのは実は映画製作が決まってからのようで、その分を物語の中に挿入したからこうなったのかなと想像する。国のために活躍した人材をしっかりと英雄として扱う米国と、何かしら国の犠牲者扱いしがちな現在の日本との差を感じる。
主演のブラッドリー・クーパーは自分の中では喜劇役者の印象が強かったのだけど、しっかりと役作りをしていていい演技だった。音楽は全体として目立たないけれど、最後のトランペットは染み入る演奏だった。
撮影はかなり良いが、撮影場所は中東ではなくL.A.で主に行われたそうで、美術への金のかけ方がやはり凄い。
コメントする