「不合理な衝動とドーパミンの2次関数」エベレスト 3D kawachiさんの映画レビュー(感想・評価)
不合理な衝動とドーパミンの2次関数
「なぜ山に上るんだい」というライターのクライシーの質問に、言い淀む面々。死のリスクを冒し、普通なら数年分の貯金になるだろう蓄えを散財し、家族には白い目で見られ、なおかつ苦しい。得られるものは究極の自己満足のみ。「山があるから登るのだ」も、「登れるから登るのだ」も、「すべてのサミットを制覇するのだ」も、聞き手が望んだ明確な答えにはなっていない。
人間はなぜ時々不合理な選択をする生き物なのか。
糖質ダイエット明けのご褒美のハーゲンダッツのように絶対的に不合理な衝動を解放することが、最もドーパミンを吐き出せる行為だからなのかもしれない。
実話ベースでかなり平坦に描いていたため、日本人は別として、ほとんど誰が誰か区別がつかなかったが、特に思い入れをせず脚色をしないドキュメント的な引いた視点は受け手に見方を選べる「隙間」を残していて、自分にとっては好感触だった。
エベレストの疑似体験装置としては楽しめた。
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