「時間の逆行」博士と彼女のセオリー kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
時間の逆行
ホーキング博士が亡くなってから観ることになってしまった。学生時代にALSを患い、余命2年と宣告を受けても76歳まで生きたことにも驚きでした。宇宙のすべてお説明するたった一つの方程式を発見するという信念が精神的にも強くしたのだろうし、ジェーンをはじめ、周囲の人々の手厚い看護のおかげなのだろう。
邦題にも表れているように、ホーキングの功績を称えるというよりはジェーン視点の恋愛面のほうが強調されていた(原作がジェーンの自伝みたいな感じ?)。宇宙論者とクリスチャンという、神の存在を信じるか否かの似合わない恋人から始まったものの、スティーブンはそれを感謝の意味を込めてジェーンに伝えてアメリカに渡る。
聖歌隊指導者のジョナサンと恋仲になるが、自分の気持ちを押し殺して、すべてを認めたスティーブン。子どもたちとキャンプに行きなさいと告げたところが決別の意味があったのだろう。自分じゃ彼女を幸せにできない・・・
看護師エレインと幸せに暮らすのだと想像できる物語ではあるが、実際は結婚して2011年に離婚している。映画が作られた時期を考えると微妙な点でもある。
ブラックホールとホーキング放射によって彼を世界的に有名にしたのだが、本来の夢は宇宙の法則や時間の概念を解明することだったのだろう。特に“時間”においてはビッグバンまで遡る映像や、自分が健康体にまで戻る想像によって描かれていて、さらにエンディングでは映画の各シーンを逆行させるというニクい演出!彼がもっと長生きしていたらタイムマシンも夢ではなくなっていたのかもしれません。
ナイトの爵位を辞退!これはかっこいい。叙勲を辞退した大江健三郎、国民栄誉賞を辞退したイチローと同じくかっこいい!