劇場公開日 2015年3月13日

  • 予告編を見る

「ALSを発症する前と発症後のスティーブン・ホーキンス博士を演じたエディ・レッドメインの凄さに刮目した作品」博士と彼女のセオリー NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5ALSを発症する前と発症後のスティーブン・ホーキンス博士を演じたエディ・レッドメインの凄さに刮目した作品

2019年9月16日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

知的

幸せ

 ホーキンス博士の姿はALSに罹患した姿しか知らなかったので、この作品で彼の若き日の健康体の姿やジェーン(フェリシティ・ジョーンズ)との恋する姿が眩しかった。

 そして、身体の不調を訴えるスティーブン(ここの、エディの困惑から絶望に陥る姿は忘れ難い)がALSで余命2年を宣告された後に家族の反対を押し切り、彼を支える決意をするジェーンの毅然とした表情が美しい。

 ここから二人の病や世間との闘いが始まる。

 この作品では、エディ・レッドメインの難病に罹患したホーキンス博士を演じる姿が絶賛されたが(周知の事実であるが、彼はこの作品でアカデミー主演男優賞を始め、数々の映画賞を受賞。実際、凄かった。)私はフェリシティ・ジョーンズの姿も忘れ難い。(事実、彼女はこの後、「ローグ・ワン」「ビリーブ 未来への大逆転」など活躍の場を広げていく。)

 又、この作品が観客に対して誠実なのは、ホーキンスの看病に疲れたジェーンが別の男性に惹かれていく場面やホーキンスも又別の女性に惹かれていく場面もきちんと描いている点である。

 ダブル不倫と言われても仕方がない状況であるが、観客はジェーンが若いころから献身的にホーキンスを支えて来た事実を目にしており、又二人がお互いの事を考え、最善の策として離婚に至る経緯も描かれているため、違和感は余りない。(ホーキンス側では色々あったようだが。出なければ二度目の夫人と
ほどなく離婚した理由が分からない。)

 が、この映画ではあくまで、ジェーンがホーキンスを長年支えてきたという部分に光を当てている(実際、ホーキンスを実質的に支えたのはジェーンであるという見解は多いし、ホーキンスの3人の子供はジェーンの子である。)点で成功していると思う。

 この映画は、難病に罹患しながらも数々の偉業を成し遂げた、現代の天才理論物理学者と彼を献身的に支えた高邁な一人の女性との恋愛物語として堪能したい作品である。

<2015年6月20日 劇場にて鑑賞>

NOBU