シアター・プノンペンのレビュー・感想・評価

クメール・ルージュの犯罪を人間の贖罪として、ドラマで処理しても良いのだろうか？
仏教徒なら許されるのか？
脱亜入欧でニュー・シネマ・パラダイスが好きなお嬢さんの卒業制作作品。
もう少し、脚本をねるべきだ。
折角の負の歴史があるのだから、稚拙な作品で総括すべきではない。

新人女性監督が描くカンボジアの歴史。もっと社会派寄りの話かと
思ったら結構なメロドラマ構成で、彼らの現在の生活習慣にも計り
知れない部分が多い。とはいえ父母のかつての姿や、映画関係者が
どんなに苦しめられたか分かる後半は息をのむ展開となり、ラスト
でその故人達が映し出されるところが映画の見せ場なのだと分かる。

誰しも、人に言いたくない過去は、あるわけで。それでも、過去と向き合うことで、新しい未来が拓けるとしたら…。
　パンフレット買ったんですが、監督さん、大変だったんですね。しかも、取材に行けば、｢ルック　オブ　サイレンス｣状態。(すごい映画です。観て損はありません。きっと。)監督さんが、その気になれば、恨み節炸裂ムービーにできたはず。それでも被害者も人なら、加害者も人、目線なのは、監督さんの人柄ですかね。
　過去は、弾劾するものではなく、もっといい未来(ラストリール)のために、あってほしいものです。恩讐の彼方に、赦しがあるなんて素敵な話です。と云うか、本作を創り出すまでの、監督さんの心情が、映画にできそうなくらい素敵です。

隣人同士が密告しあい殺しあった大虐殺の時代。今も人々の心に深く爪痕を残すカンボジアの歴史的・社会的な悲劇。そして一人の女性と彼女をめぐる男性たちの愛の悲劇。重なる二つの悲劇の記憶を封印するようにして生きてきた人達が、ある出来事をきっかけに過去に向き合って行く姿を、次世代の主人公の目を通して描いています。

技術的にはお世辞にも上手い映画とは言い難い。それは多くの監督・俳優等が殺されて映画文化が一旦断絶した影響もあるのでしょう。

しかし、直接的な描写は少ないにもかかわらず、あの時代のことを等身大の生身の人間の姿を通してよく描いていると思います。監督の、主人公と同じ真っ直ぐな視線が伝わってきて、重いテーマにもかかわらず清々しい余韻が残りました。

地方在住の私にとって、初の岩波ホールでの映画鑑賞。平日昼間でしたが、7〜8割の席は埋まっていたような感じ。一見して中高年の方が多数。

カンボジアの大量虐殺の歴史を知らない若い世代が、古い映画をきっかけに自国の歴史や文化を再確認していくのがテーマのようでした。

新聞の記事を読んで知った映画で、ある程度の前情報は持っているつもりでしたが、カンボジアの現在の文化水準を知らないために、導入部の主人公の女子大生の生活水準や、男子大学生が普通の子なのかヤクザなのか？主人公の女子大生の両親が一般家庭なのか裕福な家庭なのか？…、いちいち⁇と引っかかりまくり、すんなりと物語の中に入ることが出来ませんでした。アジア映画だからではなく、この監督さんの描き方の癖なのか…。
そして、カンボジアの女優さんの声が甲高いのや、やや俳優陣が大袈裟な演技が気になってしまい…。

眠気とたたかいながらの鑑賞となりました。
映画の歴史も、大量虐殺の嵐で途絶えたのだから、現在のレベルに影響あるのかもしれないと思いました。

テーマや物語自体は悪くない。たった40年前にこんなひどいことがあったなんて知ることができてよかった。監督さんたちに拍手を送りたいです。