ザ・レジェンド : 特集
今回のニコラスは、まさかの“ジェダイ・マスター”!?
こんな本気をたまに出すから──やっぱり《ニコラス作品》はやめられない!
ニコラス・ケイジとヘイデン・クリステンセンがダブル主演するスペクタクル・アクション「ザ・レジェンド」が6月12日に公開される。ヘイデンといえば、「スター・ウォーズ」シリーズのアナキン役。その彼の師匠として最強の剣を振るう今作のニコラスは、いわば“ジェダイ・マスター”だ。
■映画&ニコラス・ケイジ・ファンよ──
《本気のニコラス+「スター・ウォーズ」的組み合わせ》お前なら気になるよな?
名匠フランシス・フォード・コッポラのおいであり、「リービング・ラスベガス」でアカデミー主演男優賞を獲得した実力派俳優。だが、刑事やトレジャー・ハンターを筆頭に、武器商人、スーパーヒーロー、さらには天使や魔法使いに至るまでありとあらゆるキャラクターを貪欲に演じ、アクション、サスペンス、ラブストーリー、ドラマ、ファンタジー作品の数々で、映画ファンを魅力してきたのがニコラス・ケイジだ。そのニコラスが本作「ザ・レジェンド」では、元十字軍の最強騎士を演じ切る。
ニコラスとダブル主演するのは、ヘイデン・クリステンセン。そう、「スター・ウォーズ エピソード2 クローンの攻撃」「スター・ウォーズ エピソード3 シスの復讐」で、後にダース・ベイダーとなる若きジェダイの騎士、アナキン・スカイウォーカーを演じたあの俳優だ。本作でヘイデンが演じるのは、ニコラスと同じく元十字軍の騎士。ニコラスは師匠、父親代わりとして、血気盛んなヘイデンを鍛え、騎士の道へと導く存在なのだ。その関係性は、まさにジェダイ・マスターとその弟子パダワンをほうふつ。「もしニコラスがジェダイ・マスター役だったら……」という映画ファンの願望を大いに刺激するのは間違いない。
舞台は12世紀。屈強な騎士ガレイン(ニコラス・ケイジ)とその弟子ジェイコブ(ヘイデン・クリステンセン)は、十字軍での縦横無尽な活躍で“最強”の名を欲しいままにしていたが、“聖戦”の名の下に行われる虐殺と略奪の無益な日々に疲れ果て、極東の地・中国に旅立つ。そして数年後、アヘンで身を持ち崩していたジェイコブは、中国王朝の継承権争いで命を狙われる王子とその姉に出会い、彼らの用心棒として、再び戦いに身を投じることになる。最強の騎士“ザ・レジェンド”として恐れられたもうひとり、ガレインは、強盗団のリーダーとして君臨していたが、ジェイコブとともに追っ手の脅威に立ち向かう覚悟を決める。果たして最強の用心棒たちは、王子を守り抜くことができるのか!?
■「フェイス/オフ」「ゴーストライダー」「キック・アス」──
“本気のニコラス”は面白い! そう、本作は“その”久しぶりの作品だ!
1982年の「初体験 リッジモント・ハイ」でデビューして以来、映画俳優歴なんと33年。「仕事を選ばない」と揶揄(やゆ)されることはありながらも、数え切れない程の作品(そのほとんどが「主演」作)で、ニコラス・ケイジは我々映画ファンを楽しませ続けてきた。オスカー、ゴールデングローブ賞受賞経験を持つ確かな実力はもちろん、無類のアメコミ好き、ピラミッド型の墓を購入するといったプライベートの話題までを含めて、ニコラス・ケイジその人に愛着を持っている人も多いはずだ。
たたみ掛けるような出演作の登場に、残念ながら大ヒットが保証されているわけではないが、それでも「フェイス/オフ」や「コン・エアー」「ゴーストライダー」「キック・アス」等々、傑作エンターテインメントを適度なタイミングで生み出してくるから、やはりニコラスは侮れない。そうした傑作群を眺めてみると、キャラクターが立った役を熱演する=“ニコラスの本気”が注入されていることが共通する。
凶悪な犯罪者と顔が入れ替わってしまう捜査官、凶悪犯に囲まれた模範囚、地獄に魂を売ったスーパーヒーロー、リアル世界で正義のヒーローになりきる元警官と、取り巻く状況が特異でトリッキーな役回りほど、ニコラスがイキイキとするのは確か。本作「ザ・レジェンド」も、元十字軍の最強騎士が極東に渡って盗賊となった上に、元弟子のために全てを投げ打つという役どころだ。「本気のニコラスは面白い」、今作はその定説を感じられる久々の作品だ。
■今を生き抜くオヤジたちよ!
本作のニコラスから“パワー”をもらえ! そして“生き方”を学べ!
ニコラスの動向から目が離せないファンとなると、若くても30代後半、上は60代以上の男性映画ファンが中心だろう。そんな“オヤジ”たちにとって、本作のニコラス=最強の騎士・ガレインは、今を生き抜くパワーと方法が得られる最適なお手本なのだ。
ニコラスとヘイデンの十字軍が籠城戦に挑む冒頭のシーンを筆頭に、本作は重厚な剣術シーン=ソード・アクションに満ちている。初メガホンとなったニコラス・パウエル監督は、「グラディエーター」「ボーン・アイデンティティー」「ラスト サムライ」等でアクション・コーディネーターを務めてきた人物で、騎馬隊が登場するなど、「ロード・オブ・ザ・リング」にも通じる本格派のアクション・シーンが実現されている。ニコラスのアクションも、スピードと威厳にあふれた堂々たるもの。彼の勇姿に力がもらえるのは確実だ。
ニコラス演じるガレインの騎士道精神からも、“オヤジ”たちは学ぶべき点が多い。十字軍の大義と誇りを信じ、虐殺など行われないと考えていた若きジェイコブに対し、いち早く“聖戦”の虚しさに気づいていたのがガレイン。理想と現実のギャップに苦しみながらも職務に忠実であろうとする姿は、社会で少なくない責任を負っているだろう中高年世代なら身に染みるはずだ。そして、かつての弟子のピンチを知るや、一度は捨てた正義に準じ、彼らを生かすために激闘に身を投じていく。その生きざまに、上司、指導者はどうあるべきかと、自問せずにはいられない。