「永遠の孤独のなかで」プリデスティネーション REXさんの映画レビュー(感想・評価)
永遠の孤独のなかで
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自分を傷つけ、自分に恋し、自分を抱き、自分を産んで、自分を殺す。
すごい話だ。
唯一の理解者である自分自身しか愛せなかった人間なのに、最後にボマーとなった自分を受け入れなかったことでメビウスの輪が完成してしまう。なんて悲しい。
鶏が先か卵が先か。
自分で自分を産むというのは、始まりがないに等しいので現実には有り得ないのだが、この背徳さが物語に異様な深みを与えている。
未来もなければ過去もない。永遠の輪の中をグルグルグルグルと廻る、ジョンの人生。
矛盾が生んだ存在。凄く切ない。
結局引退した後も、ボマーとなって過去や未来を行き来しつつ、自分を出し抜くのだから。
最初は語りで始まる展開に訝しく思いつつも、次第にバーで語るジェーンの数奇な人生に引き込まれていった。
見ながら頭をよぎったのは、バーテンはジョンではなく爆弾魔で、冒頭で失敗したジョンは整形で爆弾魔そっくりにされてしまったという筋書き。バーのシーンは炎で焼かれる前のジョンが、バーにきて爆弾魔を追い詰めるという過去を描いているのかな?と。
しかし、話は私の予想のはるか斜め上を越えていった。
後半は怒濤の展開に鼓動も早くなり、ジョンがベンチに戻ってくる辺りで真実に気がついてからは、言いようもない哀しみが胸を満たしていった。
この時空のパズルを、二部構成でみせたのは素晴らしい。全く違う映画を二本見た感覚に襲われた。
私のなかでは久々のSF傑作。
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