劇場公開日 2015年6月20日

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虎影 : インタビュー

2015年6月15日更新
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斎藤工が明かす西村監督作への思い「この作品が自分の名刺になる」

ドラマ「昼顔~平日午後3時の恋人たち~」(14)で上戸彩演じる主人公と不倫の恋に落ちる高校教師を演じて、女性層への人気がブレイクした斎藤工を主演に、実写版「進撃の巨人」の特殊造型プロデューサー、西村喜廣がメガホンをとったアクション・エンターテインメント「虎影」が6月20日に公開を迎える。「今が旬の才能ふたりによるコラボ作」という紹介の仕方は決して的外れではないが、その根底には、ひと言では語れない、約10年に渡る揺るぎない信頼関係があった。(取材・文/編集部、写真/梁瀬岳志)

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「全てのタイミングが必然な気がするんです」と斎藤は言う。2001年に俳優デビューを果たしながらも、「無力でしかなかった。俳優としてのニーズがない状況は、存在しているのかいないのか分からないくらい不安だった」と振り返る。長い下積み時代に、自身が関わる作品への出演を打診してきたのは西村監督だった。

園子温監督の「冷たい熱帯魚」「愛のむきだし」や井口昇監督の「ライヴ」「ヌイグルマーZ」ほか、数々の作品で特殊造型を務めてきた西村監督は、日本におけるこの分野の第一人者的存在で、08年の残虐描写が満載の初監督作「東京残酷警察」は、世界各国のファンタスティック系映画祭で高く評価。今や海外から熱い視線が注がれる鬼才クリエイターだ。「監督の生み出すもの、造型物、センスがものすごくいいなってことは大前提としてあるんですけど、でもそれ以上に人を本当に大事にされる方なんです」と語る斎藤とのコラボレーションは、すでに10作品近くに上ろうとしている。その“恩師”である西村監督のメガホンで初の主演を務めたのが、今作「虎影」なのだ。

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かつて最強と呼ばれた、斎藤扮する忍者・虎影が、愛する者を守るために身を投じる壮絶な財宝争奪バトル・ロイヤルが、アクション、ホラー、コメディ、ヒューマンドラマのごった煮感覚満載の世界観で過激に描かれる。

「西村さんからの打診を断るという選択肢はない。出演時間が5分に満たなかった『ヘルドライバー』(西村監督作)と何が違うかと言うと、拘束時間しかない」と言い切る斎藤は、虎影という男を「土の匂いがする男」だと表する。

「それはどこか西村さん本人であって、それと同時に、監督が僕の中に見出してくださっている土っぽさ、パブリック・イメージとは反する僕の本質でもあります。ちゃんと捉えてくれているんだなと、脚本を読んだときに見えました」

斎藤が言う「パブリック・イメージ」とは、もちろん「昼顔」によって世間に浸透した“セクシー”なイメージ指すが、「僕も共演の皆さんと同じく、西村さんのフライパンの中で炒められている具材のひとつ。自分の名前が、この作品に興味を持って劇場に足を運んでもらえるきっかけになれば、それは俳優の務めをまっとうできた気がします」というしたたかさも見せる。劇中では本格的なソード・アクションも披露し、セクシーな俳優としての姿しか知らない観客は、相当驚くに違いない。

「去年の『昼顔』の流れから、取材していただく機会が増えたり、自分の説明書きのところに“艶”みたいなものが加わったことは当然認識はしているんですけど(笑)、それも自分としては楽しんでいます。でもそれは、芸人さんがたまたま一発ギャグで当たってしまったみたいなもので、終焉(しゅうえん)に向かっているのは明確に分かっているんです」と笑う。

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『虎影』を撮影していたころにはまだ『昼顔』にも出合っていなかったですし、全然そんな(タイミングを図ろうという)作為は西村さんにも僕にもないんですけど、たまたま面白い流れにはなっている。その流れで劇場に来てくださって、全員が全員じゃないにしても、西村さんの作品の本質に何かを感じる人がいてくれたらいいなと思います。ジャンル・ムービーとして語られがちですけど、そんな作品だからこそ、(人としての)本質的なスローガンみたいなものが、シンプルに届いたらいいなと」

相手役の芳賀優里亜のほか、西村作品でおなじみのしいなえいひ津田寛治鳥居みゆきらが結集。「むしろこのポスターにも、全員横並びで映りたかったなっていう気持ちがある」という同作に、「僕はこの作品が、一番自分の名刺になる作品だと思っているんです」と力を込めた。

虎影」は、6月20日から全国公開。

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