「十字架を背負ったまま立ち直ったか?」起終点駅 ターミナル Bluetom2020さんの映画レビュー(感想・評価)
十字架を背負ったまま立ち直ったか?
訪ねた街が舞台の映画は再び旅情をかきたてる。橋、駅、市場... やっぱり釧路は幣舞橋かな。美しく撮られていた。
冒頭の冴子さんの投身は謎だけど、ご本人の思いなので計り知れない。ただ、前夜の逢瀬とか白いコートには決心が感じられたかも。
主人公はこれで十字架を背負ってしまった。結果的に彼女を不幸にしてしまった悔恨か、熱意をもって捜索しなかった後悔か? ずるずると吹っ切れず、かといって家族にも戻れず、十字架の重さを感じたまま。それでも、敦子の登場で次第に和らいできて、ラストの表情は良かったな。雪深い駅の心象で始まりラストは現実の再出発。佐藤さんの全編を通じた演技力には恐れ入った。
本田さんの敦子さんも良かったな。佐藤さんのカバーもあり、苦悩し立ち直り成長して旅立つ役どころは、無理せず等身大の存在感。
くしくも女性二人は一つだけマニュキュア、敦子は説明したけど、冴子は? そんな軽いシーンや行間に思いをはせながら、後で十分余韻に浸れる秀作と思う。
コメントする