「普通のアニメ映画(辛口です)」攻殻機動隊 新劇場版 alphaさんの映画レビュー(感想・評価)
普通のアニメ映画(辛口です)
総評:クオリティは作画、脚本共に中の上。頑張ったけど過去シリーズには至れていない印象。詰め込みすぎな話は展開が早くアクションも繊細さはなく、情報量と派手さで圧倒する感じ。そのわりにカタルシスは少なめ。映画と言うより2時間弱のTVアニメといった方が正しい。展開にもっとメリハリがあったらイメージが変わっていたかも。エンターテイメントとしては良いのかも知れないが、個人的にはもう少しテーマ性と素子の心理描写が欲しかった。
内容:素子達が9課に所属する直前の話。基本的に独立部隊の設立を動機として捜査。大使館襲撃、総理暗殺、大型船での戦闘、ハリマダラ重工に買われた501機関への突入、養護施設でクリスとの離別と盛りだくさん。盛りだくさん過ぎて、政治的背景とか理解出来ない。そもそもキャラが多いから顔と名前を覚えるので精一杯。終盤にはクルツの正体(クリス)やファイア・スターターの出所などが明かされるが、イマイチぱっとしない。頑張って考えたのだろうけれど、もう一度1800円払って観たいとは思えない。途中のアクションシーンを減らして、素子とクリスのやり取りに時間を割いていれば、従来の攻殻らしさは出たかもしれない。銃撃戦がほとんどのシーンを占めるなかで、素子がバトー、トグサとサンドイッチを食べるシーンがとても印象的だった。
映像:一昔前なら評価されたかも知れないが、今ではどこの制作会社でもやれる事をしている。新しい側面は感じられない。最後のghost in the shell冒頭のオマージュ(絵コンテから一緒)は動画の技術不足が露見しただけなのでやらない方が良かったと思うが、喜ぶファンも多いだろう。あと未だに前髪パッツンは慣れない。可愛いけど。
音楽:よく言えばスタイリッシュ。悪く言えば味気無い。正直僕には何がいいのかわからないのとほとんど印象がないのでコメントできない。少なくとも見終わってから口ずさめる音楽ではない。
演技:有名どころの声優を使っているので(一部除く)特に言うことはないが、男性陣が低音ボイスなので声だけだと区別しづらい。
まとめ:普通のアニメでした。過去作の様な傑作にはならないでしょう。