いわゆる世にも奇妙な物語的な内容をSFサスペンスとして一本の映画にした作品。
低予算ながらもさすが韓国映画だけに映像は安っぽく見えない。あのタイムマシンなんか日本映画なら張りぼて感満載で搭乗の際はぐらぐら揺れまくってたのではないだろうか。
海底にある原子力施設では加速器の数が少なくてもワームホールを維持できるとか、目の肥えたSFファンの喜びそうな設定と、本作への期待は否応なく膨らむ。
タイムマシン開発チームのリーダーウソクは妻を失ったことを引きずっている。研究は妻を生き返らすことが目的なのか。研究成果を焦るあまり自ら実験台としてタイムスリップ実験を強引に行うが、見事に24時間後の未来へタイムスリップする。
そこでウソクが見たものは崩壊寸前の実験施設だった。一体24時間の間に何が起こったのか。そしてそこで自分を殺そうとした人間の正体とは。この前振りはかなり良い。
例えば予知夢で自分が死ぬ未来を見てしまい、何とかしてその死から逃れようなんてストーリーは過去にもよくあった。
本作は予知夢をタイムマシンで回収してきたカメラ映像に置き換えてSF作品にしましたみたいな。その設定自体は面白いし、そこから生じるサスペンス展開も興味深い。しかし、いかんせん、以前から韓国映画はSFが得意でないという印象がある。
せっかく設定が面白くても演出や芝居はいつもの韓国映画、登場人物たちはやたらと情緒的で常に怒鳴りあう。
確かに自分たちの末路をビデオ映像で目の当たりにしたがためにパニックに陥り、結局ビデオ映像通りの末路をたどってしまうという皮肉な結末を迎えるというのはいいのだが、やはりそのように至る過程はもう少し落ち着いた演出で見せてほしかった。
そこまでいたるさまがやたらと感情的短絡的過ぎて、とても彼らがタイムマシーンの開発チームの研究者とは思えず、普通の工場労働者に見えてしまった。
この辺の演出を何とかして、また最後の韓流ドラマみたいな回想シーンもなくせばもうちょっと良い作品になったはずではないか、それだけに少々残念な作品。