「アナベル人形はただそこに居るだけで…」アナベル 死霊館の人形 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
アナベル人形はただそこに居るだけで…
『死霊館』に登場した最恐人形、アナベル人形を題材にしたスピンオフ。
それにしても、あの人形だけで一本映画が作られてしまうとは…。(この後続編も製作)
まあでも、確かにそれだけのインパクトはあった。
子供の誕生間近の若夫婦。夫は人形好きの妻の為に一体のアンティーク人形をプレゼントする。
相変わらず怖ぇー顔してるわ、アナベル人形…。
奥さんも人形好きとは言え、よくプレゼントされて喜んでるもんだ。
明らかに他の人形とは異質で気味悪くて、普通は捨てるよ…。
ある晩、カルト集団の一味が家に押し入り、夫婦は襲われる。命からがら助かるが、この時人形に呪いがかけられ…。
この後の続編が本当の誕生編となっているようで、本作は誕生というより、アナベル人形による呪いの事件の一つといった感。
話的にはオーソドックスな呪いホラー。
不審な物音や人影、一人でに動く椅子、奇っ怪な現象…。
引っ越した先で、少女の影が自分を襲ったカルト女に豹変するシーンはなかなか。
でも、恐怖演出もドラマ的にも何もかも、『死霊館』に遠く及ばず。
別にB級とまでは言わないが、『死霊館』では感じた格調高くクラシカルなムードが損なわれてしまった気がした。
特に肝心のストーリーがつまらなく、恐怖の中にも描かれた哀しみや愛情などのドラマ要素が今一つなのも残念。
作品的には期待してたより微妙だったが、アナベル人形自体の不気味さはやはり天下一品。
このアナベル人形が何故こんなにも不気味で怖さを感じるかは、全く動かないから。
下手なB級だと瞼が動いたりありがちな演出になる所を、アナベル人形は一切動かない。
それがまた見る側に恐怖心を想像させ、煽る。
アナベル人形と一緒。
ずっと傍に。
ただ、そこに居るだけで…。
何だかんだ言って、ユニークなホラーキャラクター。
続編も続けて見ようかね。