セッションのレビュー・感想・評価
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肩透かし
菊地氏と町山氏の対決を見て見に行ってきました。
率直な感想としては、菊地氏の言う「カタルシスがない」というのに同感です。
主人公が教授を訴える→教授が主人公を騙す→主人公がコンサートをぶち壊す
とただの負の感情連鎖のように感じてしまいました。
観客を置き去りにした冗長なドラムソロの中でお互いに何か通じ合うものがあったんだろうけど、
それだけ?って感じの終わり方に感じました。
そしてこの物語で誰か救われたのだろうかと。
音楽的にもとにかく、テンポテンポテンポで、
手数とかひたすらジャストのタイミングを要求する音楽はうんざりです。
全体的にはスパルタ教育VSゆとり教育(が理想としたもの)と、
負の連鎖というところが気になりました。
厳しくしないとスターや有能な人材が生まれないのか、
厳しくしたら潰されるのか。
欧米では体罰はあり得ないという話を聞くので、
この話(というか、こんな状況がまかり通るジャズ業界)は前時代的ということでしょうかね。
またイスラム教を嫌っときながら、報復してるのはキリスト教徒も一緒だよね。
キリストの言ってることと違うじゃんか。
そんな映画がアカデミー賞を取るほどいいのだろうか?
それとも好敵手と書いて「とも」と呼ぶジャンプ的な何かだろうか?
全編通して飽きずに見れましたし、
できが悪いということはないですが、
最後の終わり方が肩透かしで、もやっとしたままでした。
天才を目指した二人のセッションのカタチ
観終わってすぐは疲労感でぐったりしてしまった。
ただ劇場を出て少し歩き出したところで、あの映画はなんだったんだ?!と胸が一気に高鳴った
ああすれば天才が産まれるとか、スパルタ教育がどうのとかそんなんじゃなくて
天才を産むために、天才という存在になるために
お互いがどこまでできるのかっていう
先生と生徒2人の視点の闘いの物語
戦争映画のような緊張感と圧迫感
アクション映画のような迫力と強い意志
天才を目指した二人のセッションは
憎悪や愛を全て超越したところにある二人の中の闘いだったんだろうなと感じた
ただ天才になる❪生む❫ことだけを目標にした本気の人間の、それ以外を取り払った姿を描いた
今までに絶対になかったカタチの映画
威圧感と緊迫感
一部マスコミで論争にまで発展している本作ですが。
それはそれで良い宣伝効果になっているようで、映画ファンだけでなく音楽ファンの足も運ばせているのではないかと思えるほどこの手の作品にしてはかなりの人が入っていた。
本作はまず、鬼教師フレッチャーを演じたJ・Kシモンズが作り出す威圧感に終始圧倒される。
その緊迫感はもはや「オカルト映画?」と思ってしまうほどである。
その緊迫感が全編を支配して、観賞後はまるで自分がシゴかれていたかのように肩がこり全身が力んでいた。
もし主人公が自分ならこれでは十分に力が発揮できないだろう。
しかし人は時にはキレた感情をプレーにぶつけることでいつも以上の力を発揮することがある。
一瞬の輝きとでも言うような…。
もしこれが力を引き出すためにフレッチャーが計算してやったのだとしたら凄いの一言だが、付いてこれる人間は
いないに等しいのではないか?
たった一人を見出だすためにしていたのだろうか?
それとも彼は屈折した本当のクソ野郎だったのか?
その答えは観た人それぞれが感じとるものだが、ニーマンがフレッチャーを超えたその時に彼は最高の輝きを放ったのだ。
最大の敵とも融合してしまった。
素直に従っているだけではダメなのかもしれない。
また優しさや甘さが弱さとなって持てる力を出し切れ無いこともあるだろう。
自分を信じて勝負に出ることが必要な時もある。
ジャズの世界のことは私には分からないので、こういったことが許されるのか?それともこういったことにも対応できてこそジャズ・ミュージシャンなのかは分からないのだが、見方を変えればチームプレーでのそれは、言わばスタンドプレーと取られかねない。
唯一無二に成りたければ型に嵌まっていてはダメと言うことなのかもしれないが、組織やチームの中でのそれはけして良いものではないだろう。
その点が本作の気になったところで、全体のテンポや作品としてのクオリティはやっぱり良かったように思う。
ドラムはかっこいい。
アンドリュー(マイルズ・テラー)は、胸に希望を抱いて音楽大学の門を叩く。厳しいコーチ フレッチャー(J.K.シモンズ)の目に留まり、彼の率いるバンドの一員になる。
スパルタ的な指導に違和感はなく、一流になるためにはこれくらいのことはありかと。
リズム、テンポを習得するためのビンタは、まさにスパルタなのだが、叩かれているほうが何も言わなければ何の問題もない。
フレッチャーに追い出されるのも、ほぼ自分の不注意で、教師としては、時間にルーズなヤツは使えないというところだ。
だからこそ、カーネギーホールで仕返しみたいなことを企てたフレッチャーは少し残念であった。
が、アンドリューの演奏が、フレッチャーの器の小さい思いを吹っ飛ばすラストは見応えがあった。
デイミアン・チャゼル監督のビートの効いた演出もかなりよかった。
かっこいい!
ユニークな小品
『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』の後に観るというのは流れが悪いなと思った。通常、音楽をうまく使うのが映画的なのだけど、この作品はまったく逆で悪く使ってしまった。どこまで自覚があるかはわからないが監督本人が主人公と似た経験をして音楽を挫折したというから、何となくそうした過去への思いが滲んでしまっているのかもしれないし、単純に音楽的なセンスがないのかもしれない。それが『バードマン‥』を観た後ではより強く感じさせるのだ。
まあ新人の小品とイニャリトゥの意欲作を比べるのはフェアじゃないか。ただし、これだけジャズのスタンダードをフィーチャーしながらも良い演奏が聴けないことにストレスを感じるのは当然だろう。で、それがあたかも「凄いぞコイツ」みたいに描かれているから困ったなとなるわけ。
アカデミー賞の後で見させられる流れはどうにもならないだろうから、せめてフラットな気持ちで観たいと思ってるし、そうして観ると作品への評価もシモンズへの評価も「そんなに」となってしまうな。
ちなみに先日放送されていた「ナントカの流儀」のうどん回でも師匠の弟子に対する批評・批判が理不尽で「こういうものなんだな」とは思った。
素晴らしいが、音楽の魅力からは外れる
感情と台詞を音で表現したラストシーンは圧巻だが、ステージの上で敢えて恥をかかせるというフレッチャーの行動は音楽家としてあり得ない。ただの狂った奴だ。
そんな狂った奴へ向けて狂気的に叩くドラムが偶然に素晴らしいものになってしまう、それも音楽の一つだが、本来あるべき身震いする程の音楽による感動は得られなかった。
その為「セッション」という邦題はズレている。
スリリング!
セッション
サンダンス映画祭でのグランプリと観客賞受賞を筆頭に、さまざまな映画賞で旋風を巻き起こした音楽ドラマ。
ジャズドラムを学ぼうと名門音楽学校に入った青年と、彼にすさまじいスパルタ的指導を行う教師のドラマ。
名門音楽学校へと入学し、世界に通用するジャズドラマーになろうと決意するニーマン(マイルズ・テラー)。そんな彼を待ち受けていたのは、鬼教師として名をはせるフレッチャー(J・K・シモンズ)だった。ひたすら罵声を浴びせ、完璧な演奏を引き出すためには暴力をも辞さない彼におののきながらも、その指導に必死に食らい付いていくニーマン。
ドラムに汗しぶきが‥‥
ドラムに血しぶきが‥‥‥‥
ドラムに狂気が‥‥‥‥‥‥
なにゆってもネタバレになりそうなので、止めときます。
先が読める長ったらしいアクション映画なんかよりずっとスリリングで全く目が離せない。
緊迫感緊張感が最初から最後まで。
ラストは、衝撃的。
これは、見終わったあとみんな心の中で拍手喝采してると思います。
必見。
狂っているだけでは音楽にはならなかった
前評判の高さから期待をして観に行きました。Buddy Richの曲を好んで聴いていたので、耳でも楽しめる映画でした。
しかし、ストーリーの方がいまいち私には合いませんでした。J.K.シモンズ演じる教授の熱烈さや狂気というのはビシバシ伝わってくるのですが、マイルズ•テラー演じる学生が、シモンズに感化されて変化していく様子にあまり劇的なものが見られず、彼から狂気的な音楽への情熱のようなものが伝わって来なかったです。
ラストシーンでも、復讐の応酬から2人が徐々に理解しあって高まってゆくという流れは観ていて分かるのですが、何かが足りないのです。狂気や熱は伝わるのですが、音楽への愛(?)というのが描かれていない為か、ただ激しいだけの映画に思えてしまいました。
『セッション』と同じように、音楽に没入していく、狂っていく、というような映画でしたら『4分間のピアニスト』という素晴らしいドイツ映画があります。こちらも厳格な教師と生徒という関係の中でストーリーが展開していくのですが、ラストシーンの息もできないような圧倒される感覚は『4分間のピアニスト』の方が凄かったです。
圧倒的!
出だしから圧倒されたままエンディングを迎え、鑑賞後はかなりグッタリした。
役者の演技、緊張感あふれる演出(役者にクローズアップを多用したカメラワーク、演奏シーンのカット割り等)が素晴らしくて、終始引き込まれた。
常人にとっては「たかが」と思われることが、その道を極めようとする者には生死を賭けるほどのことであり、それは当事者にしかわからない。
天才たち(それに見合った努力が出来る者を含む)の言動を、自分のような凡人は憧れと嫉妬と諦めの心境でただ眺めるしかないのかも知れない。
密告のくだりが個人的には分かりにくいと感じて、一緒に観た人と擦り合わせたところ、自分の読み違えだったようで、悔しかった。。。(もっと修行が必要だ。)
観終わった後久々にゾクっと身震いきたぁ~~
鬼気迫るJKシモンズが今夜、夢に出てきそうな衝撃
鬼気迫る演技で。
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