「Jack the JAM」セッション uzさんの映画レビュー(感想・評価)
Jack the JAM
ずっと気になっていた作品を、リバイバルにて。
オープニングからもう音が格好いい。
そして初登場時からハッキリと分かるパワハラモラハラ教師フレッチャーのヤバさ。笑
彼が本当に曲者で、最後まで一筋縄ではいかない。
ショーンの死に涙を流しながらも死因を偽り、丸くなったかと思えば強かに復讐を仕掛ける。
対するニーマンは、最初はナヨナヨした雰囲気。
しかしフレッチャーの熱気と狂気にあてられてどんどんと“そちら側”へ踏み込んでゆく。
中盤以降、特に演奏中は輪郭すらシャープに見えるほど。
普通なら終盤にフレッチャーの真意が明かされて感動的な共闘関係になりそうなものだ。
いや、実際言葉に偽りはないだろうし共闘もする。
しかしそれは殴り合いながらの共闘だ。
「本当は良い人でした」なんて優しい真相は用意されておらず、それでも音楽やプレイヤーへの愛は本物。
最後のセッションで否応なく熱くなるあの姿から、それは疑いようもない。
彼におもねることなく挑みかかるニーマンも、もう同じ所まで行ってしまったのだろう。
睨み合いながらも楽しそうな2人が印象的。
口元の演技が魅力的だったニコルをあの扱いにするのは勿体ないが、本作には必要な措置だった。
その分、本番直前に復縁を狙おうとしたのは余計かも。
半年以上のブランクから最後の演奏の説得力を出すには、「実は練習続けてました」くらいは欲しかった。
あの後の2人の関係を描かないのは賛否が割れそう。
個人的にはフレッチャーの年齢になったニーマンの様子とかで何かしら臭わせて締めてほしかったかな。
とはいえ、ジャズにはまったく詳しくない自分が前のめりになるくらいには、素晴らしい作品でした。