「厳しい指導の果てに何が残るのか」セッション まるさんの映画レビュー(感想・評価)
厳しい指導の果てに何が残るのか
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今更ながら見た。内容もわかりやすくまさかの展開もあり、ピリピリした空気や狂気の指導、楽器と人間の生々しさが表れていてよかった。
一流音楽学校のバンドの生徒が主人公でその指導者がメインのキャラクター。
一流を生み出すための厳しい指導にはリスクがつきものだ。生徒が潰れてしまうかもしれないし、指導者が解雇されるかもしれない。仮に生徒側が一生懸命やったにもかかわらず一流になれず無名で終わったり、挫折して心に傷を負ってしまったら何も残らないのだろうか。一流を生み出したい指導者に対して生徒がついてこなかったらどうなるのだろうか。逆恨みされたらどうするのだろうか。そんな気持ちに対する一つの答えがあった気がする。
感動したのは最後の演奏シーン。そこに参加した理由はやはり主人公がもう一度指導者に自分の演奏を聴かせて認めてもらいたかったからだろう。指導者に騙し討ち?されて裏切られた気持ちになってももう一度舞台に向かったのは、指導者がくれたものを、自分が成長した姿を無理やりにでも見せたかったのだろう。指導者が笑ったのは主人公の演奏が素晴らしかったのもあるかもしれないが、1番は自身の指導に応えてくれ、それを行動で示してくれたことに驚きと喜びがあったからだろう。まるで気持ちがすれ違っていく恋愛が成就するかのようなシーンだった。
私にも感謝したい指導者がいる。あの人の前で自分の成長した姿を思う存分披露できたらどんなに幸せか。あの頃は厳しかったが、確かに私の中にそれは残っている。あの人は私の成長を喜んでくれるだろうか。そんなことを考えて切ないような温かいような気持ちになった。
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