「べったべっただんだん」駆込み女と駆出し男 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
べったべっただんだん
離縁を望む女たちが駆け込む寺で聞き取りを行う男たち。寺に駆け込むワケありの女たち。
江戸の離婚事情を描いた原田眞人監督最新作。
観たい!!と思っていたものの地元では上映されず。散々悩んだ末、やっぱりどうしても観たくなったので、隣町の映画館までレッツラゴー♪
評判に違いなし!
わざわざ観に行ってまでの甲斐があった!
笑いと涙と、人情たっぷり。根底にあるシリアスなテーマも見応えあり。
何処を取っても好きな映画だ。
原田監督の手腕は称賛モノ!
娯楽性と芸術性のバランス加減が絶妙な演出。役者陣から名演技を引き出し、テンポも良い。
現代人にはなかなか分かり難い江戸の離婚劇を極上作に仕上げ、匠の技!
加えて、日本の四季折々の映像は美しく、美術・衣装など画面の隅々から江戸の風情を感じさせてくれる。
常にクオリティーの高い作品で魅せてくれる原田監督は紛れもない名匠だ。
本作の魅力の一つに、“言葉”があるだろう。
台詞量は多く、ちと小難しい用語もあり、観た劇場の音響設備の問題か聞き取り難い箇所もあったにせよ、“素敵”“素晴らしい”“べったべっただんだん”など日本語の美しさ、面白さ。
これらはレンタルになったら字幕を表示して、じっくりチェックせねば!
今の世も離婚件数は多いが、江戸時代はその倍以上だったという。
男からの離縁は簡単に出来るが、女からの離縁は容易じゃない。
当時の男尊女卑問題に一石投じる。
役者陣が皆、素晴らしい!
大泉洋は駆け出しの医者で駆け込み寺の居候・信次郎。
信次郎が女たちの聞き取りを行う訳ではないのだが、見習い医者の立場で女たちを手助け、図らずも自分自身も再出発する事になる。
大泉洋だけひときわ台詞量が多く、早口多台詞はご苦労様でした。
“見ない”診察はこの人ならではの爆笑シーン。
ユーモラスで味のある演技はハマり役で、三枚目的な立ち位置だけど、それがかえっていい男っぷりを感じさせ、“素敵”だ。
今年出演作続く戸田恵梨香にとっても、大きな作品になった。
演じたじょごは序盤は夫に虐げられ、か弱い感じだったが、寺での生活で逞しくなっていく。クライマックスの殺陣は凛々しい。
満島ひかりがやっぱり巧い。
演じたお吟は商人の妾で序盤は姉御風だったが、寺に駆け込んでからはある理由でか弱く、繊細な演技を披露。画面に出れば独特の存在感を見せ、さすが同世代随一の演技派。
境遇は薄幸で似てるが、対照的でもある像ヒロインが面白い。
助演陣も一人一人、誰もが光る。
特に、内山理名、キムラ緑子、そして言わずもがな樹木希林。
これぞ日本映画!
現時点で本年度暫定1位!
今年も既に満足度の高い作品は幾つかあったが、いずれもどんぐりの背比べで、遂に頭一つ抜きん出た作品にお目にかかった。
原田監督は夏の「日本のいちばん長い日」も期待大!
「わが母の記」は2012年のマイ・ベストに選んだが、どうやら今年は二本揃ってベスト候補になりそう!(^^)
東慶寺モノ】に関しては、様々な方が小説にしてますが、俺的には宮本昌孝?さんのが一番だ!と思い、本作は見ませんでしたが。。。
近大さんの2015ベスト3!ならば(*イニシエーションラブと同じに)見てみます♪(*^^)o∀*∀o(^^*)♪
〜〜〜
他レビューにもコメント連投しました。
大変に失礼いたしました。