「時折脚本に本末転倒なつまづきが見られるが、総じてシリーズ最高」ミッション:インポッシブル ローグ・ネイション 鰐さんの映画レビュー(感想・評価)
時折脚本に本末転倒なつまづきが見られるが、総じてシリーズ最高
シリーズ通して観ているとトリック部分(特に変装)はある程度予想ついてしまってサスペンスは削がれてしまうけれど、それは一種ファンサービスみたいなもので、本質的にトムの肉体美、アクションの映画なんだろう。
話題である冒頭の飛行機ハンガーは前作のビルクライミングに比べると、時間制限を課されていないぶん迫力というか切迫感に欠けていた。が、残りのアクションシーンはいずれも出色の出来。アイディア、肉体動作のスピード感、編集のテンポ、展開の連鎖、どこの作り込みを取っても妥協が無い。もっともアクションシーンありきすぎてシークエンスまるごとアクションに持ってく必然性のないシーンまで発生してしまっていたが、そこはご愛嬌。
なかでもオペラハウスでのシークエンスがすばらしい。三人のスナイパーたちがそれぞれ一体どういう意図のもとで銃を構えているのかわからない錯綜した状況下を、トムは身ひとつ味方一人で切り開く。スナイパーたちが飛び交わせる視線のスリリングさも良い。
トムはもちろん、レベッカ・ファーガソンが光っている。
縦にしろ横にしろ直線的な動きが多いトム(だから障害物につまづきがち)に対して、ヒロイン役のファーガソンは円の動きが多い。本来シンクロしないはずの二人のアクションが、何度も反発を繰り返しながらついに絡み合う一瞬が美しい。
とはいえ今回のヒロイン役と呼ぶにふさわしいのはサイモン・ペグ。ラストは元祖チームアクションの面目躍如。