「サルマティズム と シュラフタ」パン・タデウシュ物語 jarinkochieさんの映画レビュー(感想・評価)
サルマティズム と シュラフタ
ポーランド分割後のロシア支配下の
リトアニアの貴族(シュラフタ)の物語
長きにわたり続いた〈ポーランド・リトアニア共和国〉の
貴族階級やウクライナコサックの生活様式や思想において
支配的だった《サルマティズム》が描かれている
地域の強力な貴族だったパントラー・ホレシュコを
彼の城がロシア軍に包囲された時
どさくさに紛れて撃ち殺した
ヤチェク・ソプリツァの暴挙から始まった対立を軸に
両家の和解の為に婚姻関係を結ばせようとする勢力
ポーランド独立を望むホレシュコ、地元貴族の思いに
親ロシアのソプリツァ家を融合させてゆく思惑も…
しかし熟女テリメーナはそういう動きに関係なく
タデウシュに食指をのばす
亡き主人の忠実な年老いた城の番人の怨念と
〈ひとりの怨念に引きずられる愚者〉と評されてしまう
揺れ幅の激しい地元貴族たち
扇動的な射撃手のような僧侶など
消滅してしまった祖国の復活と
ナポレオンに賭ける熱い思いが
様々な思惑とからみあって高揚していく様子が
美しいリトアニアの丘陵地帯を背景に叙情的に描かれていました
ナポレオンのポーランドの愛人を描いた「征服」では
ひたすらだらしない貴族の姿しかありませんでしたが
この映画には全く別のシュラフタの姿がありました
ワイダ監督のポーランドロマン主義文学映像化作品
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