予告犯のレビュー・感想・評価
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出来過ぎ感もあるが、シンプルで楽しい。
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ネットで弱いものを中傷したり高圧的な奴を、痛い目に合わせる犯人。
新聞紙をかぶっていたが実は4人いて、主人公はその1人の元派遣のプログラマ。
弱い者いじめのような目にあい、半分クビで退職し、ドヤ街みたいな所へ。
そして住み込み労働していたら、仲間が死亡した。
それを何とも思わず死体を埋めさせようとした雇い主を4人で撲殺。
全員で自殺しようとしたが、思い直して上記の世直しを始めたのだった。
しかしみんな主人公の手のひらの上で踊らされていた。
事を成した後、全員で服毒自殺をはかるが、主人公以外のは偽毒で生存。
しかも主人公は自身が全て悪かった風の動画を残しており、3人は無罪に。
そして警察が捜査する中で、死んだ仲間が探していた父が見つかった。
それも主人公の計算どおりで、きっと遺骨は父に引き取られたのだろう。
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劇場で見たのでおもしろかった。
主人公らのチームはみんな犯罪者だがいい奴らで共感もできた。
でも密かに撮っていた動画ってのはちょっと無理があるけどね。
あとどこまで本音か知らんけど、死んだ友の父親を警察に捜させるために
全ての犯行を計画したってのも、ちょっとあり得ないな。
生きている仲間のためになら分からないでもないが、もう死んでるし。。
脇役はいい。
好みの問題もあると思いますが、主役の生田斗真・追いかける刑事の戸田恵梨香の演技がどうも好きになれない。それに対して脇を固める犯人役の3人(鈴木亮平・濱田岳・荒川良々)は安定の演技力で、そのギャップが最後まで埋められませんでした。
チョイ役まで豪華なメンバーが揃っています。
またこの作品が俳優デビューの福山康平は、フィリピン出身の日系人という難しい役柄を見事に演じ切り、涙を誘います。
最後の予告までに、もう一つ何か大きなイベントが欲しかったかな?
by TRICKSTER10
傷を舐め合う弱きものたちへの挽歌
前半は現代版劇場型仕置き人物語、成敗は単なる悪人への私刑でなくモラルの欠如した心なき輩への警告メッセージ集でもありましょう。
社会正義がないがしろにされれば自力救済の機運が高まるであろうことは歴史的にも自明であろう、問題はれっきとした犯罪行為はともかく、小学校から職場まで蔓延しているハラスメントの類でしょう。「ジョーカー(2019)」でも稀代のヴィラン誕生の裏に市井の人々の弱者への心無い扱いがあったように描かれていましたね。
原作者の筒井哲也さんの視点なのでしょうが社会問題への冷徹な切り口には感服です。
派遣に対する生々しいハラスメント・シーンは胸が痛みます、小泉政権が容認した派遣制度ですが格差社会に拍車を掛け家庭さえもてない貧困な若者たちを増やしました、少子化の日本はどうなるのでしょう。
不法投棄処理場での非人道的な扱いは奴隷社会さながら、外国人技能実習生への似たような話は時々報道で耳にします。
日本人男性のフィリピン女性との火遊びでの私生児も一時社会問題になりましたね、東南アジアや中国での貧困層の臓器売買なども事実だから、本作で描かれる社会問題の数々は実に嘆かわしい限りです。
後半になって目的が明かされるが奥田のITスキルなら公安の力に頼らずとも入国管理の官庁へのハッキングで探る方法もあったように思えてしまう。何となくお涙頂戴に寄せておいて勝ち組の戸田恵梨香が批判的立ち位置キープでは当たり障りのない締めくくり・・。
同様に必殺仕置き人の時代劇なら越後屋とお代官が狙われるのが定番ですが現代の政治家へのテロがおふざけなのもメジャー製作ならではの自己規制でしょうか。もっとも暗殺事件が実際に起きているので過激に描いていたら上映禁止は免れなかったに違いない。
世の中、綺麗ごとでは済まないとは察してはいるが映画の中くらいブチ切れたカタルシスに酔わせて欲しかった・・。
議員抹殺は良かった!!
「半沢直樹」で出向先で虐めにあっていた滝藤が、逆に派遣虐めをするシーンから引き込まれました。2015年の映画ですが2022年現在も雇用環境は全く変わっておらず、観るべき映画だと思います。また主人公の愛称が「ゲイツ」なのも、ビル・ゲイツが死神だと隠さなくなった2022年だと違った感じがします。中村監督らしいネットやメディアを駆使した演出ですが、最近見かけない気がするので残念です。もう時事は扱わなくなったようなので、非正規労働者の反乱やピットクルーを描いた本作で政府に睨まれたのではないでしょうか。戸田恵梨香は似たようなタイトルの「不能犯」(2018)の刑事役・沢尻エリカと比べると、外見的な魅力は感じませんでした。デスノートだと声が残念でしたが、ドスを利かせて上手く活かしていました。議員抹殺が最高潮で、後半は悲しい雰囲気になって失速し過ぎだと思います。
ネット犯罪とその動機のギャップが好き
漫画原作で非常に面白かった!
今見ると、おーこの人出てたんだ!的にも面白いです。
ワーキングプア、ネット犯罪、政治家の売名、ネトウヨと現代社会の闇を上手く
実写映画で上手くまとめた良作。
プロットも絶妙で、あーあの時か、あーなるほどね。と納得できて最後まで飽きさせない。
生田斗真の悲壮感、覚悟、知性と演技が秀逸!引き込まれました。
小松奈々がちょっと出てるけどすごく可愛い♡
窪田くんもちょっと出てる程度だけど、おー
佐々木良平若い!最近、孤狼の血LEVEL2を見たばかりだから、そのギャップがたまらん。
今や引っ張りだこの田中圭が、シンブンシに翻弄される貧乏くじ役(笑)
戸田恵梨香の根性論も正論だけど、頑張っても浮かび上がれない人がいることも事実なのだろう。
自分は、戸田恵梨香側の人間なので、「社会のせいにする」ネトウヨの気持ちは全く分からないが。
ネット犯罪の動機が父親捜しってのも、「ネット犯罪で警察を利用する」発想は好き!
くだらない(と言っていいか)ことに全力を掛けるって面白いですね。
戸田恵梨香が、生田斗真の死体を抱きしめるのはいらなかったかな。
一度はみるべき作品ですね。
ネットを使った劇場型犯罪の映画が増えている
最初の予告はゴキブリを揚げた高校生バイトのおかげで店をたたむことになった事件を取り上げ、その高校生にゴキブリを食わせるというもの。2番目がレイプ事件を起こした大学生が「ホイホイとついてくる女が悪い」と投稿した大学生に対する制裁。3番目が食品加工会社だ。
ネットの影響力は早く拡散して模倣する者も増えてくる。ある意味正義の鉄槌のようにヒーローとして捉える者も出てくるのだ。サイバー警察も対応が早かったが、それよりも凄いのが公安の捜査スピードだった。現役政治家(小日向文世)がターゲットとなったため、本腰を入れ始めた形だった。だが、“シンブンシ”は彼を本気で殺そうとしてたのではなく、ネットの匿名性を論じた政治家が裏で意識調査を動かしている現場を撮影することで、彼を辞職に追い込んだのだった。
主犯である奥田=ゲイツ(生田)はプログラマーとしてIT企業に派遣されていたのだが、正社員になれずに酷い扱いを受けていた。ハローワークで出会ったカンサイ(鈴木)、ノビタ(濱田岳)、メタボ(荒川良々)、そしてフィリピン人のヒョロ(福山康平)と栃木の不法な産廃業者で寝泊りした。ヒョロが父親を探すために日本に来たのだが、金のために腎臓を売ったという経緯があった。おかげで彼は疲労が重なり、病気で死んでしまう。他の4人は業者を殺して逃げたのが1年前の出来事。
最後の予告として、シンブンシの4人を殺すという動画を流した。そして、彼らは予告通りに青酸カリを飲むのだが、実はゲイツだけが本物を服毒して他の3人の薬はすり替えられていた。ヒョロの名前ネルソン・カトー・リカルテを使ってネットカフェを利用していた彼ら。ネルソンのため、騒ぎを起こして警察に父親を捜査させるのが目的だったゲイツ。
4人が同時に自殺するという映像も凄いのだが、それに対する書き込みも非情でひどいものだったなぁ・・・
(ほぼ備忘録)
予想を超えて感動
よくある社会に訴えかける、世の中の闇系の映画、もしくは山田悠介的な内容かと思っていましたがまったく違いました。
最初~8割くらいは、この日本社会の闇で生きる若者、みたいなテーマかと思いましたが
残りの2割で、友情や些細な日常の幸せ、が大きいと感じました。
捕まった窪田正孝くんの、犯罪集団への単なる憧れ、だけではなく「小さな事でも人は動く」という言葉がこの作品の全てなように思います。
この手の正義と悪は紙一重、的な作品でいえば起こす事件・動悸は確かに派手さがなく小規模です。でもだからこそリアリティがあり「もう少し大規模でもいいのに」と思った自分が、シンブンシの動画に「派手にやってくれ!」と書き込んだ有象無象の人間たちと変わらないな、と気づいて恥ずかしくなりました。父親にあって父ちゃんと呼びたい、小さな事で日本にやってきた友人、その小さな事から全てが始まっているわけですね。
最後自殺する必要はなかったと思う。それだけのことで?
という意見もみますが、その方々は「小さな事でも人は動く」「頑張れるだけ幸せだったんですよ、あなたは」ていうセリフをもう一度考えてみてほしいな、と思いました。
最後皆が泣きながら供述するシーンは号泣してました。
皆嘘はいってないんですよね、荒川さん演技が上手すぎて第二波号泣しました。だからこその「生き残ったら死んだ奴のすればいい」っていった生田くんの言葉が響きます。もうこの時から、生田くん(ゲイツ)は自分のせいになるように全てをセッティングし終わった後なんですよね、、、。
鈴木亮平くんの「アイツの言うことには逆らえなくて」っていう供述も、死んだ奴のせいにすればいい、っていうゲイツの思いを汲んだんだと思いました。
カサ、大事にしろよ、のセリフ。
誕生日おめでとう、の回らない寿司のサプライズ。
(ここでの皆さんが素の友人たちのようで、本当に感動しました)
みんなに会えてよかった。
ゲイツの友達が欲しい、という夢は既に叶っていたんですね。
期待してなかったけど面白かったです。 ただ、最後自殺するほどの必要...
期待してなかったけど面白かったです。
ただ、最後自殺するほどの必要性が疑問だし、ヒョロの身元を探らせるためとはいえ、みんな良い人なのにゴキブリ食べさせたりレイプのようなことするかな。
人物設定が弱い。
ラストシーンはホロっときましたが。
ただの犯人を捕まえるとかいう話じゃない
予想外にもとても感動して最後のシーン号泣でした、、
ゲイツがいい人すぎる。ゲイツにとって嫌な最悪な社会だったはずなのに、それに怒って悪事をはたらいてるわけじゃなかったなんて、、
友達思いすぎて、泣ける。
辛い思いして生きてきたはずのヒョロのあのあどけなさというか、けろっとした感じが愛しいというか、見守りたくなるなぁ
小さなことでも誰かのためになるなら人は動く。
大切だと思う
脚本がいい
見る前からどうやって終わるんだろうと思ってたけど、
想像以上に切ない、だけどとてもまとまった終わり方でよかった。
シンブンシたちはネットをうまくつかって、
自分たちがどう見えるのか客観的にもきちんととらえていて、
そしてすべてを成し遂げたんだなあと。
いやあ、切ない。
悪が悪じゃないってのが切ない。
海辺?の動画のシーンとか劇的に切ない。
けどとても好きな映画でした。中村監督の映画が好きすぎてどうしよう。
これはよかった。うっかり涙ぐんでしまった。些細なことでも誰かのため...
これはよかった。うっかり涙ぐんでしまった。些細なことでも誰かのためになると思えばできるっていう主題。自分のためでなく、誰かのために。ゲイツ達は自分のことではないからあそこまで大それたことができたということ。見終わって、好きだと感じたら中村義洋監督だった。作風が合うのだろうか。
神分死
予想に反して社会派の作品でした。
テーマは非正規雇用、外国人労働者、貧困、ワーキングプアなど意外と重たかったです。様々な背景を持って集まった労働者達が育む友情。彼らの事情など、王道を走っている人には「分からない」し「覚えてもいない」のです。人生のレールを迷わず歩む人と、レールからこぼれ落ちている人の「正義」は違うのか。とても切ない話です。
ゲイツがあまりにも立派というか… 他人にあそこまでやるのなら、以前の上司に恨みを晴らしてもいいような気もしました。あと死に方が綺麗過ぎる点と、警察官が現場検証前に死体を抱き上げるという点が、かなりマイナス。それ以外はとても良かったです。
誰かの為に。
「俺は自分の為にやってるわけじゃない」
この言葉に翻弄され続け。
ゲイツの目的は、確かに自分の為じゃなかったけど、
カンサイも、メタボも、夢を叶え、
ノビタの恋も上手くいくよう応援し、
自分の夢も叶えた。
辛いラストは、
荒川良々の供述シーンで
号泣させられた。
「頑張ればいい」
なんて、やすやすと言えない。
人間の持つ底力には個人差がある。
だけど、
誰かの為に自己犠牲しながら
底力を上げる事ができる。
誰かの為に。
誰かの安堵や笑顔の為に。
自己満足だとしても
そうやって生きていける。
天権法理非
映画「予告犯」(中村義洋監督)から。
私自身、ネットの世界にどっぷり浸かっているにもかかわらず、
アクセス数の急激な増加など、大きな変化に対しては、
喜ぶというよりも、あれっ、どこか知らないところで炎上してる?、
変なこと書かなかった?なんて、不安・恐怖が先行する。
自分の管理が及ばないところで、自分に関することが語られ、
誹謗中傷されることへの不安は、誰でも持ち合わせているだろう。
だから、堂々と自分の意見を主張し、自分の意見と会わない人に対して
いとも簡単に「誹謗中傷」出来る人たちは、凄いな、と思う。
片方では「みんな違ってみんないい」という視点で、
金子みすゞさんのフレーズを多用しながら、もう一方では、
その違いを認めない、許せない、という動きが渦巻く。
そんな矛盾したネットの世界を上手く描いている作品だな、と感じた。
さて、今回の気になる一言は、作品内でちらっと登場した
「天権法理非」と書かれた掛軸。
「非は理に勝たず、理は法に勝たず、法は権に勝たず、権は天に勝たず」
「天命のままに動き、人は天に逆らうことはできないのだから、
『天道に従って行動すべきであるということ』らしい。
監督ら映画製作関係者が、さりげなく飾ってある「掛軸」や「書」に、
この作品を貫いている考え方があるに違いない。
楠木正成や戦艦大和で話題になった「非理法権天」ではなく
「天権法理非」にも意味があるのかもしれない。
これを「テロ」と呼んでいいものだろうか・・私にはわからない。
やるせなさが残る
新聞紙をかぶりネットで予告をする犯人だから悪い奴だと思っていた。
愉快犯なんだと…
しかしその意図は少し違っていた。
社会の弱者にスポットを当てた映画なのだ。
若者の就職難民の深刻化。出稼ぎファリピン人が産んだ日本人の子供の貧困。
皆、正規雇用には程遠い。身の上関係なしの住込仕事は人間扱いされない奴隷のようなもの。
死んだら埋める…そしてまた人を補充する。
腎臓を売り旅費をつくり日本に父を探しにきたファリピン少年。彼は父に会う事なく死んでしまった。
彼らはネットで予告をし、事件を起こす。
警察は予告犯人を追う。
追い詰められた彼らは自殺を公開すると予告。
警察は間に合うのか。
生田斗真が全て筋書きをして実行している。
非情な日本に問題提起しているようでもあり、日本に対して絶望しているようでもある。
あたたかい結末にグッとくるがやるせなさが残る。
友達。
弱い人間だっている。
レールからこぼれてしまった人間だっている。
そこに現代社会の問題もクロスさせているからすごい!
武士道精神的には、最期まで共に逝って欲しかった感はあるけれど(ゲイツがかっこよすぎる!!)…
それでもやっぱり涙が止まらなかった。
荒川良々さんの最後のシーンが大好き。
友達。嬉しかったな。
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