予告犯のレビュー・感想・評価
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神分死
予想に反して社会派の作品でした。
テーマは非正規雇用、外国人労働者、貧困、ワーキングプアなど意外と重たかったです。様々な背景を持って集まった労働者達が育む友情。彼らの事情など、王道を走っている人には「分からない」し「覚えてもいない」のです。人生のレールを迷わず歩む人と、レールからこぼれ落ちている人の「正義」は違うのか。とても切ない話です。
ゲイツがあまりにも立派というか… 他人にあそこまでやるのなら、以前の上司に恨みを晴らしてもいいような気もしました。あと死に方が綺麗過ぎる点と、警察官が現場検証前に死体を抱き上げるという点が、かなりマイナス。それ以外はとても良かったです。
●誰かのために。
思ったより深くて面白かった
予告犯。
最初は、単純なバイオレンス映画か?と、思ったら、熱い作品でした。
主人公の生田斗真も、派遣社員として一生懸命働いても、実際には評価されず、社会の居場所が無い事への当てつけか?と思いきや、実は違って、そこに熱い思いがありました。
自分が今、生きていることへ、少し考えさせられる映画でした。
オススメです
切ない
誰かの為に。
「俺は自分の為にやってるわけじゃない」
この言葉に翻弄され続け。
ゲイツの目的は、確かに自分の為じゃなかったけど、
カンサイも、メタボも、夢を叶え、
ノビタの恋も上手くいくよう応援し、
自分の夢も叶えた。
辛いラストは、
荒川良々の供述シーンで
号泣させられた。
「頑張ればいい」
なんて、やすやすと言えない。
人間の持つ底力には個人差がある。
だけど、
誰かの為に自己犠牲しながら
底力を上げる事ができる。
誰かの為に。
誰かの安堵や笑顔の為に。
自己満足だとしても
そうやって生きていける。
設定は面白い
貧困は自己責任?
予告犯でえぐり出される社会問題。
貧困とワーキングプアに陥る人々は
女刑事が言うように、本当に
「甘ったれた結果=自己責任」なのか?
家庭や環境の問題で
十分な教育を受けられなかったヒョロ。
劣悪な労働環境の中
身体を壊して仕事を辞めざるを得なかったゲイツとネカフェの店員。
カンサイとノビタには事情があったのかは分からないけど、ノビタの吃音気味なところを見ると、何かしらの精神疾患があったのかも。
そして、這い上がろうと努力しても
待ち受けるのは違法な労働と搾取。
貧困層を食い物にした、いわゆる「貧困ビジネス」によって、彼らは更に搾り取られ、追い込まれてしまう。そしてついに…
ここに描き出される現象は
本当に自己責任の結果なのか?
自己責任で片付けていいものなのか?
女刑事が言うように、
「社会のせいにするな、甘ったれるな」
というのがまさに今の一般的な世論。
「本人の問題」として片付けられるからこそ、産廃場のような貧困ビジネスや、ベンチャー企業のような労基違反の会社の存在が、「社会問題」として認知されない。
だからこそいつまで経っても改善しない。
これが純然たる事実だと思う。
「日本にも貧困がある」という現実から、
目を背けているだけで。
予告犯はいろんな見方があると思うし、
本筋とは的外れな感想を書いてしまったけど、私はこの貧困という社会問題をしっかり描いていたことを評価したい。
この映画をきっかけに貧困層の問題に興味を持つ人が出てくれれば幸いだ。
いい意味でだまされた
サスペンス系が観たくなって借りましたが、ただの刑事物だと思っていたので、いい意味で裏切られました。こんなにも涙を誘い、メッセージ性の強い映画だったとは…
シンブンシの活動は、社会に批判的な若者が、ヒーロー気取りでしてるように思える。でもそれは、その目的を知らなければの話。
本当に、最後の最後まで仲間思いなゲイツ。
ゲイツの意思をしっかりと感じ取り、次に進む仲間たち。その温かさに、心を打たれました。
話を理解した上でもう一度観てみると、
その後の展開がわかっているので、1回目よりも泣けるシーンが多かったです。
”生き残ったら死んだ奴のせいにしろ”
”大切にしろよ(傘)”
など、伏線になるところも多く見つけられました。
裕福な日本にいても、逆境や差別に悩む人はたくさんいる。自分を守るためなら他の人を犠牲にだってできる。(これが自尊心ってやつですかね…)
そんな現状に心を傷めましたが、希望を持って動けば、いつか浮かび上がれる日が来るということを教えられました。
”それが誰かのためになるなら、大きなことではなくても、人は動く”
まさにその通りだと思います。
予想しない結果
天権法理非
映画「予告犯」(中村義洋監督)から。
私自身、ネットの世界にどっぷり浸かっているにもかかわらず、
アクセス数の急激な増加など、大きな変化に対しては、
喜ぶというよりも、あれっ、どこか知らないところで炎上してる?、
変なこと書かなかった?なんて、不安・恐怖が先行する。
自分の管理が及ばないところで、自分に関することが語られ、
誹謗中傷されることへの不安は、誰でも持ち合わせているだろう。
だから、堂々と自分の意見を主張し、自分の意見と会わない人に対して
いとも簡単に「誹謗中傷」出来る人たちは、凄いな、と思う。
片方では「みんな違ってみんないい」という視点で、
金子みすゞさんのフレーズを多用しながら、もう一方では、
その違いを認めない、許せない、という動きが渦巻く。
そんな矛盾したネットの世界を上手く描いている作品だな、と感じた。
さて、今回の気になる一言は、作品内でちらっと登場した
「天権法理非」と書かれた掛軸。
「非は理に勝たず、理は法に勝たず、法は権に勝たず、権は天に勝たず」
「天命のままに動き、人は天に逆らうことはできないのだから、
『天道に従って行動すべきであるということ』らしい。
監督ら映画製作関係者が、さりげなく飾ってある「掛軸」や「書」に、
この作品を貫いている考え方があるに違いない。
楠木正成や戦艦大和で話題になった「非理法権天」ではなく
「天権法理非」にも意味があるのかもしれない。
これを「テロ」と呼んでいいものだろうか・・私にはわからない。
ケツの穴にアナルバイブをぶちこまれたって事ね!
やるせなさが残る
新聞紙をかぶりネットで予告をする犯人だから悪い奴だと思っていた。
愉快犯なんだと…
しかしその意図は少し違っていた。
社会の弱者にスポットを当てた映画なのだ。
若者の就職難民の深刻化。出稼ぎファリピン人が産んだ日本人の子供の貧困。
皆、正規雇用には程遠い。身の上関係なしの住込仕事は人間扱いされない奴隷のようなもの。
死んだら埋める…そしてまた人を補充する。
腎臓を売り旅費をつくり日本に父を探しにきたファリピン少年。彼は父に会う事なく死んでしまった。
彼らはネットで予告をし、事件を起こす。
警察は予告犯人を追う。
追い詰められた彼らは自殺を公開すると予告。
警察は間に合うのか。
生田斗真が全て筋書きをして実行している。
非情な日本に問題提起しているようでもあり、日本に対して絶望しているようでもある。
あたたかい結末にグッとくるがやるせなさが残る。
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