「やるせない。」予告犯 ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
やるせない。
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観終えた直後の感想、ただただやるせなさだけが残った。
今の社会現象を切り取ったような事件と予告犯罪の動画に、
初めはただの愉快犯かと思うが、彼らがなぜこんなことを
やっているのかという過去が次々と暴露されて、なるほど…
ということになる。主人公であるゲイツと彼を追う吉野の
意外な共通点と選んだ人生の違い。バイトや派遣で就職し、
さぁ社員になれるのを目標に頑張ろう!という若者を顎で
使い嘲笑う会社の醜悪、こんなんだから若手が育たないし、
酷使されても辞められない生活苦が更に追い打ちをかける。
職安職員の態度も最悪。アンタが逆の立場だったらどうよ?
私が若手の頃ももちろん職場でのいじめや労働酷使は日常に
あったが、それで体調が悪くなるとか鬱になったという例は
聞いたことがない。耐え続けた会社の実態がこんなものかよ
と思い知らされたこともあったし、どうなるか前に倒産して
しまった例もある。つくづく恵まれない時代もあったけど、
今こうやって元気に感想なんか書けている自分は幸せ者だ。
だから今作で一番思うのは、死んじゃダメだろ、お前は!
それだけの苦労を経験し、他人の心に寄り添える優しさを
持ち、仲間を大切にできる人間が、何かを成し遂げたフリ
をして死んでしまったらダメなんだよ!まだそんな若さで。
原作を知らないのでストーリーに文句を言っても仕方ないが、
人助けのため尽力するのは確かに素晴らしいことではある。
中盤で彼の目的が分かってしまったので、あとどう纏めるか
を見守っていたけれど、ラストはやるせなさばかりが残った。
(ネット犯罪も多様化。皆が振り回して振り回されている現代)
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