「後味悪くない人間味」予告犯 イチさんの映画レビュー(感想・評価)
後味悪くない人間味
少し綺麗にまとめすぎでは?と引っかかる部分もあったはあったが、最近の邦画では珍しくスッキリとした気持ちで見終えることができた。良い意味でも悪い意味でも感情にストレートに飛び込んでくるような作りであったように思う。ただひたすら生田斗真扮するゲイツがカッコイイだけ。まあ、そのゲイツという軸のおかげで最終的にはどのキャラクターに対しても素直に感情移入が出来たから、良いことにする。しかしゲイツの犯行内容を追っていくにつれ徐々にそのカリスマ性が浮き彫りになってきてしまい、最後の方では奥田があそこまで落ちこぼれた理由がよく分からない物となってしまった。なんか若干キャラクター変わってるやん、とそこは少し残念でした。あと犯行内容もお粗末で残念。折角ならもう少し結末と絡み合った物であって欲しかったなあ。予告犯達がやったことは決して許されることではないし 、自己犠牲を行えばダークヒーローになる訳でもないのだが、「小さな事でも人間は動ける」というテーマで話が進んだ後半は、荒んだネット社会の中でも輝きを失わない人間の”何か”が感じられるようで、凄く良かった。また、そんな世界の中でも何かを信じることを辞めようとしないヒョロくんの裏のない無邪気な笑顔がたまらなく胸に刺さった。まさに重要なキーマンである。(福山くん、映画初出演にも関わらずいい味を出してました。今後の活躍を期待してます。)そして主役であるのにも関わらず、途中で画面からいなくなってしまった奥田の存在感が最後まで消えて無くならなかったのは、他の予告犯3人や吉野のおかげだろうが、特に荒川良々扮するメタボの最後の表情にはグッときた。本当に良々さんのキャラはいつもズルい…。人間が最後に信じるものって何でしょう。