「ホラーとしても成長譚としても微妙」劇場霊 因果さんの映画レビュー(感想・評価)
ホラーとしても成長譚としても微妙
ホラー映画の体裁で語られる舞台女優の成長譚、と言えば聞こえはいいが、ホラーとしても成長譚としてもあんまり出来はよくない。そもそも「動かない」ということによって不気味さ、おぞましさが担保されていた人形が、結局最後には身も蓋もなく動き回ってしまうというのは風流に欠ける。ホラー要素を差し引いた後に残る成長譚もそれ単体では何の魅力も面白味もなく、素朴な勧善懲悪の論理に従って登場人物たちが死者と生者に振り分けられていくだけ。また自分の自我と役者としての自我の混線というテーマなら澤井信一郎『Wの悲劇』の方がよっぽど面白い。
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