劇場公開日 2015年11月21日

  • 予告編を見る

「ラストのカットに込められたメッセージ」劇場霊 UKさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0ラストのカットに込められたメッセージ

2015年11月24日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

楽しい

興奮

本作品はホラーと言うジャンルに属しているが、
そこだけに収まらない作品である。
それは、ホラー=怖いという仕掛けと真逆を行く仕掛けが
随所に施され、そしてそれは単なるホラー映画ではなく
一人の新進女優の成長ストーリーでもあるのである。

人間は得体の知れない相手に対して恐怖を覚えるのだが、
この作品は冒頭でいきなり恐怖の対象がネタバレする。
これが、本作品の通常のホラー映画にはない軽さを演出し、
それが怖くないホラー映画という印象を強く残すのである。

クライマックスになって突然人形がアクティヴになって動き出す
様は、まさにジェットコースターと言う表現がピッタリで、
この映画のホラーとしての要素はここに凝縮されているといっても
過言ではない。

ただ、この映画の一番の肝はクライマックスを終え、物語が大団円を迎えた後にやってくる。
まだ終わっていない事を想起させるホラー映画でお約束のカットで
普通の映画であればエンドロールが流れるのだが、
この映画はさらに次のカットにつながるのである。

力強く前を向いて歩いていく沙羅にとっての人形は、
これまでの弱い自分の象徴でもあったのではないか。
ラストカットの彼女の瞳の向こうに見えるもの。
これがこの映画に込められたメッセージなのではないだろうか。

UK