「テーマと手法」6才のボクが、大人になるまで。 チャンプ23さんの映画レビュー(感想・評価)
テーマと手法
”一瞬は私たちを逃さない。一瞬は常に今ある時間のことだ”
最後に語られるこの映画のテーマだが、このテーマと、撮影の手法が完璧に一体化している。
ご存じの通り、実際に12年かけて撮影してますから!!ってことです。
カメラが回っているのは、主役のメイソンが常に誰かと一緒の空間だけである。独りで悩むような内面を描くシーンはなく、他人から見た(見られている)メイソンを映している。
友人達とキャンプした時には、初体験したか、しないかというような話になり"何回かした"と答えるが、その描写はなく、真実はわからない。
本人の本当の部分をはっきりと描写はせず、あえて客観的な目線を保っている。
後の恋人とのベッドシーンでは、姉の友人に目撃されたという客観的な事実があった。
この常に一歩引いた距離感が、主役への感情移入を効果的に"客観的な"目線に抑えている。主人公の気持ち目線になってしまうのを避けている。
本人のことは本人にしかわからない。子供の言うことを信じるしかない親のような感覚にさせ、"心"を演技を通してしか写せない映画の構造そのもののようでもある。上手い!! そして、テーマである"時間"
人々は一瞬を意識していない。逆に一瞬は人々を逃さない。
これはまさに映画の主役達と"映画を観ている"我々そのものじゃないか!?
我々は時の目線、しかも12年を!!
しかし、その我々もまた、等しく時に見つめられている。。。というね。
あとは、
仲間内ではビールを飲むが、親父とバーに行った時には水を飲む。とか、最初の"主観"の空から、始まって1時間10分くらいのオシッコの"主観"でちょうど物語が半分くらい!とか、親父の兄貴が親父と全く同じ!とか、ジミーまだやってたのかよ!!とかgoodなシーンが満載でした(^^)
5000点くらい出てた。