「ミアより親友のキムの方が、クロエはハマっていた気がする」イフ・アイ・ステイ 愛が還る場所 平田 一さんの映画レビュー(感想・評価)
ミアより親友のキムの方が、クロエはハマっていた気がする
“惜しい”映画だなって、終始感じちゃったな…。恋人役のJ・ブラックリーは自然体で溶け込んでたし、“ロック”に燃えるティーンエイジャーの魅力が迸ってた。それに愛を求めいても得られなかった暗い過去を、押しつけずにゆっくり明かした芝居がとっても素敵だった。『キャリー』リメイクもそうだったけど、クロエの相手役俳優は将来有望の役者がいるね(アンセル・エルゴートもその後出た『きっと、星のせいじゃない。』が評判良いって聞いてるからね)。ここだけフッとトム・クルーズを連想したのは自分だけ(大スターで人気もあるって部分も共通箇所かな)?
“ロック”経歴がチャーミングな母ちゃん父ちゃんも素敵だった。微笑ましい両親な上、世話焼き母ちゃんはクスッと来るし、父ちゃんは愛する娘の為にドラムを売ってチェロプレゼント。見守るところは見守って、伝える時はちゃんと伝える。今この時を生きる家族に是非とも見て欲しいって思う。“世話して肩書を振りかざすだけ”が親の形なわけじゃない。“答え”はないけど“ヒント”としてなら、本作は素敵なヒントになるはず。あと『ボーン・レガシー』の悪そうな役のステイシー・キーチ(語彙力ゼロか(苦笑))が孫思いで優しくて素敵なじいちゃんなのも良い。何より目がとっても良かった。目が伝えてきたからね…。
でも肝心のクロエ自身がイマイチなのがやるせない。『キャリー』の時にも感じたけどさ、“ヒットガール”でブレイク後って役に恵まれてない気がする。『ヒューゴの不思議な発明』や『イコライザー』は良かったけど(あと『モールス』も悪くなかった)、『キャリー』も今回の作品も演じる必要があるのか疑問。そもそも“ヒットガール”って強烈キャラを刻んだ後に、苛められっ子の“キャリー・ホワイト”を演じるには無理がある。だって弱そうに見えないし、倒せるよね?って思っちまう。だけどキャリーを演じられるのは容易じゃないって(少し)分かるから、“じゃあ、相応しい役者って一体誰?”って言われると…中々解答できないから困るところが問題だね…。
タイプ的にクロエ・モレッツ、助演で輝く女優な気がする(日本でいうなら蒼井優)。『キック・アス』も『イコライザー』も俺的には光っていたし、「余計な視点(例えるなら“PTA”とか“青少年ナンタラ”かな)」をねじ伏せる程のパワーがあったから最高だった。こういう光を放てるのって“本物の女優”の証だし、別に焦って主演映画を作る必要はないはず。作品積めばクロエにしか出来ない“主演映画”は来る。彼女の将来を見据えるなら、まずは足場が大事じゃないかな?ファンは活躍する姿を見れるだけで満足だろうし、これからじっくり腰を据えて映画の実績積んでほしい。
ちなみにクロエの初主演映画『HICK』は出来が散々だけど、最近の主演映画よりもクロエの魅力が溢れてた。まずは彼女が今出せる魅力を紡ぎ撮るが大事でしょ。今後の映画で出せるか気になる。
補足:つーか見た日がバレンタインデーってことに途中で気が付いた。偶然だったけどビックリした。全くの無自覚だったから・・・。