「時間が行ったり来たりはホン・サンス調か?」自由が丘で mittyさんの映画レビュー(感想・評価)
時間が行ったり来たりはホン・サンス調か?
ホン・サンスは二作目の観賞。
『次の朝は他人』という映画が最初だったのですが、ストーリーはよく理解はできず。時間が戻って、同じような場面が出てきたりの映画でした。独特な雰囲気があり、他の作品はどんなんだろろう?と思って、こちらを観たら、よく似た感じで、時間の進み方がバラバラで、特にこれといった大きなエピソードがあるわけでなく、どちらかといえば、抑揚が無く、続いていきます。それゆえ、尺の短さのわりに、長く感じます。
主人公モリが年上の女性を想って、韓国に旅をして、その女性を捜す話なのですが、韓国に滞在中のことを手紙(日記のように多くのことが書かれているよう)にしたため、それを受け取った彼女が手紙を落っことして、バラバラになってしまいます。その関係か、ストーリーも時間の通りには進まなくて、ゲストハウスの大家の甥っ子(おじさん)とお酒を飲んで意気投合しているかと思ったら、しばらくして、「はじめまして」みたいな場面があったりです。
モリが読んでいる本『時間』。
モリの説明によると、「時間というものには実体がない。人は時間の概念から逃れられないが、人類は必ずしも、時間の流れに沿って体験する必要はない」とのこと。哲学的な言葉にちょっとハッとして、メモをしたくなったり。そういえば、ある他人のことや、1つの特定の出来事を思い出す時って、必ずしも時間通りに思い出すわけではなく、わりと最近のことを思い出したかと思ったら、ずいぶん過去のことが頭によぎっていたりで、時間がバラバラな方が自然なのかも・・・と思案にふけってしまいました。
女性への手紙には、別の女性といい関係になったことも、すべて赤裸々に書いていたみたいだけれど、加瀬亮が演じるモリだから、かえって、正直な青年という感じがして、違和感がないのが不思議でした。
想っている女性がモリのゲストハウスに訪ねてきて、翌朝、二人が早朝歩く姿が、印象的だったけれど、あれはモリが見た夢(願望)だったのかもしれない。モリよりもだいぶ年上の感じで、決して美人じゃないけど、モリと出くわした時の彼女の笑顔がすごく素敵でした。
加瀬亮、英語でずっと喋っていてすごい!と思ったら、『アウトレイジ』では、英語ペラペラのヤクザであったことを思い出しました。後で調べたら、生まれてまもなく、ワシントンで暮らしていたとのこと。この作品では、いかにも日本人がしゃべる、たどたどしい英語だったけれど、本当はもっと流暢なのかも。