「素直に面白いと思います。」さよなら歌舞伎町 タビさんの映画レビュー(感想・評価)
素直に面白いと思います。
数組の特殊な、でもきっと世の中には以外と存在していそうなカップル(不倫とか家出娘とか)の話が同時に展開していく。
話の軸にいるのは、一流ホテルの従業員…ではなくラブホ店長の染谷君とミュージシャンを目指す前田さんカップル。彼らは倦怠期でセックスレス…と色んな紹介文で見かけるけど、ラブホの店長であんな色んな人たち見てたらそんな気にはならなそうだよなぁと思いました。
前田さんの演技は、その昔テレビで見かけて好きになれず、且つ元アイドルという肩書きも手伝い、映画で評価が高くなってもなかなか見る気になれなかったものの、この映画はなぜか見てみようという気にさせました。
やはり脱ぐの脱がないのという話がよく出ていますが、私としては、この映画では激しい露出や絡みはなくて良かったのではないかと思いました。
それよりもむしろちょっとキャラ設定が稀薄でした。枕営業をしようとするくらいなら、もっとガツガツしたところや、強い自己顕示欲みたいなものをどこかで見たかったです。そのせいか染谷君と比べてどうも印象が薄くてバランスが悪い。
あと、彼女は声の可愛らしい人だなと思います。積極的に前田さんの今後の出演作が見たいとは思うには及びませんでしたが、どんな女優さんになっていくこか、気になるところではあります。
この映画の中で素晴らしいのは、やはりイさんのカップル。皆さんの評価のとおり、イさんの演技が素晴らしいです。俺たちもうだめなのかな、と語りかける彼の横で、ご飯を口に詰めて泣くのを堪える表情。目隠しをしてお風呂に入っているところ。どんなお客さんでも、心から赦して、受け入れる優しさ。すごく魅力的なキャラクターでした。
他にもたくさん魅力がある映画でした。
南果歩さんの、オバチャン然としたキャラと、警察に反抗する愛に生きる女というキャラの行き来。村上淳さんとイさんのセックスシーンとその後の和むやりとり。染谷君の妹役のおっぱいなどなど。。
時折差し込まれる妙に現実的な部分があって、例えばヘイトスピーチであったり、311の震災だったりがそれで、ここは確かにちょっと違和感というか映画を見ている時、そのまますんなり見させない抵抗感のようなものを感じました。そこを良いのか悪いのかという評価は私にはできません。単純に、それが日本にあるということはまぎれもない事実なので。韓国の俳優さんを遣わせてもらった中でそこも映したのは、良いのか悪いのか、複雑な気持ちです。