「こんなはずじゃなかった人生特集」さよなら歌舞伎町 オレさんの映画レビュー(感想・評価)
こんなはずじゃなかった人生特集
歌舞伎町のラブホテルを舞台に、夢を追うカップル、時効寸前の指名手配犯の恋人とそれを匿う女、風俗のスカウトマンと家出少女、不倫に溺れる女刑事とその上司、そして帰国を控えた韓国人のコールガールとその恋人などの複数のカップルの一夜を描いた群像劇。
一流ホテルマンとして働いているというウソを家族につき続けながら歌舞伎町のラブホテルの店長として燻る主人公徹とその恋人で歌手としてデビューを目指す沙耶の2人をメインに各登場人物が微妙に関係を持って行く構成がなかなか面白い。
特に韓国人カップルのやりとりはとても切なくて愛らしい。ラストお互いの体を洗い合うシーンは過程を知らずに見ればアレだが、とても美しい描写だ。
また風俗嬢のスカウトマンと家出少女の関係性もドラマチックで素敵だ。
ギリギリまで本当の気持ちを見せない忍成修吾が家出少女を置いて姿をくらませた後に登場するシーンがコテコテで感涙モノだ笑。
今まで忍成修吾はナルシストな小悪党みたいなイメージだったけど今作はだいぶ違った演技が観れて新しい発見だったなぁ。
指名手配犯の松重豊を守るためにいろいろと奮闘する南果歩はものすごくパワフルで必死でその姿が逆にコミカルに見える絶妙な演技だった。
上司であるはずの店長の徹にはまるで息子を見るかのようなサバサバした一面も見せれば、康夫を守るために素手で携帯をぶっ壊すほどのぶっ飛んだ行動を見せる。
ラスト手前の夜の新宿を爆走し、徹から譲ってもらったチャリの後ろに康夫を乗せ、再度爆走する姿は生命力と希望に満ち溢れ、なぜか爆笑できるシーンになっている笑。
そして彼らを逮捕しようとする不倫刑事カップルの2人。女性刑事の理香子がめっっっっちゃエロい……!笑
濡れ場のシーンは正直高まった笑。
河井青葉、素朴な顔つきだけどどこか気になる存在だった。
染谷将太目的で観た割には思いの外その他のキャストが良かったりして思わぬ収穫だった笑。
実の妹がAV女優として自分のホテルに来たり、枕営業で歌手デビューを目指そうとした彼女の沙耶がホテルに来たりと1日に受けるショックの限界値を余裕で振り切り、終いには部屋の外でSMプレイをおっぱじめる客に絡まれたりとフラストレーションが頂点に達したときの徹の爆発は見ものだ笑。
オレはこんなところで働く人間じゃない!!と叫び、ホテルを飛び出し自転車で歌舞伎町の街並みを疾走する姿は虚しさとコミカルさに溢れててなんだか複雑な感情になる笑。
主要登場人物が大体愛おしく感じる珍しいタイプの映画。
結構好きな作品。