「若いって素晴らしい。」くちびるに歌を ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
若いって素晴らしい。
試写会にて鑑賞。
全国学校音楽コンクールの課題曲となったアンジェラ・アキの
「手紙 ~拝啓 十五の君へ~」をモチーフに、中田永一が原作を
書き下ろした小説の映画化。長崎県五島列島を舞台に、臨時教師
として赴任してきたピアニストと合唱部員との葛藤と交流を描く。
冷淡なピアニスト柏木をガッキーが演じるが、今回は笑顔もない。
辛い過去があったのだろうと推測はできるが、幾ら、だとしても
生徒に対してそんな態度はないだろーが!と大人気の無さに驚く。
しかし今作は生徒が主人公。歌の歌詞同様、自分に宛てた手紙を
書かせる柏木だったが、彼らが抱えた家庭事情や思惑が明らかに
なりドラマが深まっていく。30歳も当に過ぎてみると、若いとは
何て素晴らしいんだ!と(毎度こればっかりだけど)思わされる。
しかし生徒が抱える事情の何と複雑なこと。
メインは自閉症の兄を抱える弟と、愛人を作って家を出ていった
父親を持つ女生徒。どちらも一筋縄ではいかない問題を抱えており
まだ15歳だというのに疲れ傷ついている。どうにもこうにも泣けた
のは、弟である生徒が書いた手紙。まるで兄のスペアとして生を
受けたような書き出しと、両親の死後も兄の世話を一生せざるを
得ない責任に満ちたその全文。そうじゃないよ…親には両方とも
可愛い子供だよ!とつい心で叫んでしまう(これは母親なら誰もね)
自身の存在を認めてもらえたことの喜びを弟は臆病に表現するが
これは泣ける。そして、父親からニ回も裏切られてしまう女生徒。
子供にとって親がどれほどの存在か。まだまだ親が重要な役割を
担う年齢の子供達であるのに、まったくもって許し難く情けない。。
しかし彼らには合唱がある!そして友人達も皆素直でいい子ばかり。
私が15歳の頃は、こんな可愛い中学生ばかりではなかった^^;のを
思い出しつつ、ラストの合唱はかなり聴かせる。とにかく可愛い。
(大人になっても辛いことは辛い。でも経験値がそれを対処します)