「最後で全てがぶち壊し」エヴェレスト 神々の山嶺(いただき) Saigohさんの映画レビュー(感想・評価)
最後で全てがぶち壊し
前半は8,000m以上のデスゾーンの厳しさとか、羽生のキチxイぶりとか、エピソードを混じえよく描いていたと思う。
ところが、エベレストで羽生と深町が生き別れになった後から、「え?」の連続。
深町と岸文太郎の妹は、ピクニックでも来たみたいに5,000m以上のベースキャンプにやってくる。
妹はいつのまにか現地語まで理解できるようになっていたけど、なぜ?
深町は高地順応もせず、ベースキャンプからいきなり単独登攀。これってありえるのか?
羽生の遺体と再会するところでは、サングラスにチャチな毛糸帽子の深町。
白い息も吐かず、あの超難ルートを登ってきたはずなのに元気よさそう。
しかもその毛糸帽子まで捨て去る始末で、一瞬で凍傷になるデスゾーン設定って一体・・。
映画「エベレスト」とか見ると、役者はゴーグル、厚手のフードを付け、外気に晒されている顔の部分は氷が付いている。
風も非常に強く、酸素が薄いので話すのさえ辛そう。
そういうリアルさが全く無かった。
折角、前半でデスゾーンの怖さとか、羽生が命を賭けた前人未踏ルートの開拓とか振っておいて、最後の部分でぶち壊し。
山岳映画が最後で遺体コントになってしまった。
岸妹の部分って原作にあったのだろうか。
原作と映画はもちろん違ってもいいけど、変えるんだったら、もう少し脚本を推敲してもらいたい。
せっかく、大金かけていい役者使っても、脚本で台無し。
岸妹の部分は全く不要。岸文太郎のエピソードも大部分不要と思う。
その尺をデスゾーンの怖さとそれに挑む男たちのリアル描写に使って欲しかった。
しかし、「クライマーズ・ハイ」なんてあんなに面白かったのに、同じ脚本家と思えん。