「不気味な仮面をつけ沈黙する群衆か、迷わず手を差し出す人か。あなたはどっち?」天空の蜂 spoonさんの映画レビュー(感想・評価)
不気味な仮面をつけ沈黙する群衆か、迷わず手を差し出す人か。あなたはどっち?
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原作は読んでないが、映像、間の撮り方、テンポ、エンディングテーマ曲、素晴らしかった。
何故、三島幸一がこの計画に加担する事になったか、明らかになっていく過去。
最後のシーンで、パトカーに乗って連れて行かれる三島と、それを眺める湯原の家族。2人とも同じ年齢の息子、妻がいてと、どこか似た家庭だったのに、真逆の末路を辿る事になる。
エンディングテーマ曲の歌詞にもあるように、「白黒裏表 どう転ぶかなんて…紙一重」なのだ。
三島が空を仰ぐシーンで、過去と現在が重なり合う。
雨の中自殺した息子を目の前に空を仰ぎ、三島の思考の中で原子炉の上で膝を突き上を見上げるシーンの重なりが印象的だった。
「子供は刺されて初めて蜂の恐ろしさを知る。
痛みを伴わない想像力は、只の甘い夢に過ぎない。
想像するがいい。
ダイナマイトが、いつも10本とは限らないと。」
三島の言葉の表現が鋭くも美しかった。
序盤の方では期待外れの作品かとよぎったが、中盤からぐっと引き込まれラストまで疾走。考えさせられる内容だった。東野圭吾さんの小説が読みたくなった。
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