劇場公開日 2015年9月12日

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「瑕はあるが見応え充分の社会派サスペンス」天空の蜂 りゃんひささんの映画レビュー(感想・評価)

3.5瑕はあるが見応え充分の社会派サスペンス

2015年9月2日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

怖い

興奮

原子力発電・核問題を扱った日本の大型サスペンス・アクションといえば『太陽を盗んだ男』ぐらいしか思い出さないが、本作品のスケールはそれを上回っています。

原子力発電の社会性も踏まえ、東日本大震災での原発事故・原子力発電所全停止を経験してきた現在、この映画の持つ社会的主題は大きい。
その社会性をサスペンス映画というエンタテインメント作品に仕上げた監督の腕は、なかなか確かといえるでしょう。

ビッグB開発技術者の湯原(江口洋介)と、原子力発電所設計士の三島(本木雅弘)との丁々発止のやりとりなどは、かなりスリリング。
ふたりの男の丁々発止があるので、実はそれほど多くないアクションシーンが際立つというもの。

2時間20分近い長尺にもかかわらず、飽きることはありません。

とはいえ、瑕もチラホラ。
脇を占める柄本明、石橋蓮司、竹中直人の演技は例によって例のごとしだし、愛知県警の警部役・手塚とおるの演技は過剰すぎる。
湯原夫婦が交わす会話などの過剰すぎる台詞も多々目立ち、どうにかならなかったのかしらん、と思ってしまいました。

そんな瑕には目をつぶって、スケール感のある映画を十分楽しみました。

あ、目をつぶってはいけないんでした。
劇中に「日本人は、見たくないものを見ようとしない」という、映画の主題となる耳の痛い台詞もあるのですから。

りゃんひさ