劇場公開日 2014年12月20日

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「【無為な生活を送る三十路女性が《小さなきっかけ》で”精一杯生きて、勝つ!”と決意し、実行する姿に勇気を貰った作品。】」百円の恋 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0【無為な生活を送る三十路女性が《小さなきっかけ》で”精一杯生きて、勝つ!”と決意し、実行する姿に勇気を貰った作品。】

2020年5月21日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD、VOD

泣ける

興奮

幸せ

■今作の魅力
 ・傑作と呼ばれるボクシング映画の多くは主人公が”何かを背負って”戦いに挑み、そして、最終的には勝利する” と言う”王道パターン”が万民の心を捉えるからだと思っている。
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 が、今作の主人公”いちこ 32歳”(安藤サクラ)は”何かを背負っている”訳ではない。

<未観賞の方は以下ネタバレあります。>

 ◆”いちこ”がボクシングを始めた《小さなきっかけ》
 ・妹(早織)が幼子を抱え、実家に戻って来たために起こった些細な揉め事がきっかけで”初めて”実家を出る事に・・。

 ・隣にはボクシングジムがあり、ボクサー”バナナマン”狩野(新井浩文:矢張り良い役者である。きちんと罪を償い、スクリーンに戻ってくる日を待っている・・。)に惚れ、同居。

 ・”100円ショップで働く”こうなっちゃいけない人々”&”廃棄焼うどんおばさん”(根岸季衣)との不思議な交流。

 ・”男なら豆腐、女ならなお豆腐”という絶妙な登り旗を掲げて、リヤカーで豆腐を売るお姉さんに狩野が走ってしまい、再会した時の”一生懸命な奴って、苦手なんだわ・・。”という言葉を聞き・・。

ー 足立紳さんの脚本が、素晴らしいのである。
      (勿論、俳優さんも素晴らしいのだが・・)ー

 ■そして、”いちこ”は覚悟を決め、試合に臨んでいく。

ーここからの”高揚感”は実に素晴らしい。
 そして、イチコを演じる安藤サクラさんの独壇場になっていく。(脳内ではイチコ=安藤サクラ状態である。)
 モシャモシャの髪の毛を自分で切り、シェイプアップされた身体とシャープな数々の動きに魅入られる。
 凄い勢いで、ドンドン画面に引き込まれる・・。ー

<試合後、相手の所によろよろと歩みより、肩を抱き、”ありがとう・・、ありがとう・・”と何度も口にするシーンと、その光景を見つめる様々な年齢の女性観客たちの顔も良い。(勇気、もらうよなあ・・)

 泣きながら、”勝ちたかったよ・・”と何度も繰り返す”いちこ”に狩野は”最高だからなあ、勝利の味っていうのは・・・”と声を掛けながら、二人で体育館の階段を下りていくシーンもじんわりと良い。

 ”邦画ボクシング映画の金字塔”の一本だと、思います。>

NOBU