「しょーもない人生に新しい指が一本増える」味園ユニバース 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
しょーもない人生に新しい指が一本増える
関ジャニ∞の渋谷すばる単独初主演映画。
関ジャニ∞が全員出演した「エイトレンジャー」は以前見たが、彼の事は全く覚えておらず。そういう映画だし、きっとそんな役だったから。
作品も役も変わればこうも印象に残る。
バンドのライブ中に突然現れたその男は、歌う事以外全て忘れた記憶喪失者。彼の歌声を気に入ったバンドマネージャーのカスミは“ポチ男”と名付け居候させ、バンドのボーカルに迎える…。
ライブ中に突然乱入し歌う“和田アキ男”の「古い日記」が圧巻。
関ジャニ∞の中でも歌声に定評があるんだとか。納得。
本作の為の新曲2曲も披露。
何も歌声だけじゃない。
記憶喪失中のポ~ッとした何とも言えぬ“ポチ”のような表情。
記憶が戻ったら目付きも雰囲気も変わる。
その演技もなかなか!
やがて記憶が戻るが、彼の素性は薄々察しが付く。
冒頭数分間で“真っ当じゃない男”のようにも描かれている。
ありがちな展開だと過去と対峙する事になるが、そうならない点に好感。
過去は過去。その過去と決別し、新しい未来に向かって歌う。
これは前を向く事を描いた作品なのだ。
渋谷すばるの土壇場に待った!
二階堂ふみがさすがの存在感。
二人の掛け合いが絶妙なケミストリーとなっている。
バンド“赤犬”やタイトルにもなっている舞台の“味園ビル”“ユニバース”も実在。これは地元・大阪ミナミの方にとっては馴染みあるのでは?
しょーもない人生にも、大切な新しい指が一本増える。
山下敦弘監督が味のある作品に仕上げた。
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