アイアムアヒーローのレビュー・感想・評価
全541件中、281~300件目を表示
さすが佐藤信介監督!
佐藤信介監督作品は『図書館戦争』や『LOVE SONG』が好きで何度もリピしていますが、
鑑賞しているうちに
「ああ、そうだった監督はGANTZを成功させた佐藤信介だった!」と納得。
日本の不得意分野といわれていたゾンビ映画でのこのクオリティ、恐れ入りました。
品川さん監督の『Zアイランド』とは比べものにならない←失礼ですよね、すみません。
原作漫画は未読なので、映画オリジナルかは分かりませんが、
英雄と比呂美が神社(?)でイアホンを分け合い眠りにつくシーンは「佐藤監督の好きそうな感じだな」と。
闘う人達の一瞬安らげる優しい素敵なシーンでした。
また脚本の野木亜紀子さん。
原作のある作品での脚本担当が多いですが、
原作に忠実で、でも決して原作を壊さず、映像化にあたってのオリジナル部分を上手く組み込んでくる。
素直に上手だと思わされます。
そして佐藤信介監督との相性がとても良い。
何気ない日常からのZQN発生、サバイバルへと続いていく過程は大変面白かったです。
また、ラストの闘い。
英雄が左手にはめていた大量の時計を外し、再び銃を構えるあの数秒のシーンに、英雄の覚悟とヒーローとしての立ち振る舞いが詰め込まれていたように感じ、感極まりました。
原作が続いているものを、映画という2時間あまりの時間に収め、尚且つ1つの映画として成立させなければならないというのは大変難しいことだと思います。
佐藤信介監督×野木亜紀子さんタッグとしては
『図書館戦争』もそうだったように、上記の挑戦をし続けている2人といった印象があります。
『図書館戦争』『アイアムアヒーロー』共に、原作ファンから更なる続編を熱望されている作品。
期待しています。
人は望まれてこそヒーローになる
皆さん、日本産のゾンビ映画がやりましたよ。
“世界三大ファンタスティック映画祭”すべてで主要部門受賞という快挙ですよ。
あ、そう聞いて「すごーい、そんな感動作なんだ~」と思った方は注意。
これらの映画祭が扱うのはホラー・SF等のいわゆる“ジャンル映画”ばかり。
つまりは、ホラー映画としてのクオリティやエンタメ性が評価されたということ。
まあね、脳ミソ飛び出す感動作ってのはなかなか聞かんよね。
で、僕が実際に観て感じたのは……
「おいおい、このクオリティとスケールの
パニックホラーを、邦画がやってのけたのかよ!!」という衝撃。
それに個人的には本作、脳ミソは飛び出すけどけっこう感動できましてよ。
.
.
.
国内外にかかわらず、特殊効果やアクション演出がチープに見えるゾンビ映画って多い。
だがこの映画はどうだ? そのどちらでもチープさを感じさせない。
まずはゾンビ映画的なヴァイオレンス描写についてだが、
本作の場合は「これ、R15指定でいいの!?」と呆気に取られるほど。
だって、腕やら脚やらポポポポーンの脳味噌パッカーンのナシ汁ブッシャーですよ。
序盤の“歯”とか陸上選手の凹んだ○とか、ひいいいぃやあああぁ……ってなる。
それにね、こんな恐ろしい形相と動きのゾンビ、世界的にもなかなか居らんと思います。
速いわエグいわ怖いわの三拍子。
顔のパーツは微妙に歪み、眼球もぐるんとあらぬ方向を向いている。
だが見た目以上に、人間だった頃の言動をぶつぶつ繰り返す様がこの上なく不気味。
(傑作ホラーゲーム『SIREN』の“屍人”を思い出した。監督……再映画化してみる気はないかね……)
片瀬那奈のZQNの動きなんてゾンビ映画史に残るインパクトだよマジで。
まあ彼女のインパクトが強烈過ぎて、他のZQNが大人しく見えちゃうんだけど。
アクション演出もグッド!
漫画家のアパートを出て住宅街から都市部へと移動するまでの序盤のシークエンスは、
パニックが身内にじわじわ浸透してきて最後に爆発するまでのボルテージの上げ具合が素晴らしい!
クライマックスも、超邦画級にウルトラヴァイオレント
であることに加え、アクションの緩急の付け方が絶妙!
ひたすら銃弾を装填し続けるヒデオを延々と捉えるシーンは、
彼がどんどん疲労してる感覚が伝わってきてハラハラしてしまうし、
ラスボス的ZQNの恐ろしさと、ここぞとばかりの決めのカットには背筋ゾクゾク。
.
.
.
だが、見所が特殊効果やアクションだけならここまで面白くはならなかったろう。
この映画が素晴らしいのは、主人公の成長譚として物語もしっかり練られている点。
僕は原作未読だが、原作ファンの友人によると、映画版は結構な省略・改編が入っているとか。
だが知らない身からすれば違和感はほとんど感じず、かえってスピーディで退屈を感じなかった位。
むしろ、サブキャラや感染源などにまでいたずらに話を拡げず、
主人公の成長譚を描く事に潔く的を絞ったおかげで、
“ヒデオ”が“英雄”になるまでのカタルシスをズドンと感じられた。
「自分は英雄(ヒーロー)だ」と名乗った所で、人はヒーローにはなれない。
ヒーローであるかどうかは自分以外の人間が決めることだから。
最後の最後まで自分をヒーローだと信じてくれた人の為に、
ヒデオはなけなしの勇気を奮い、命を懸けた。
誰かの為に死ぬ気で闘う覚悟を認められて、初めてその人は誰かのヒーローとなる。
それまで「“英雄”と書いてヒデオです」と自己紹介していた彼が、
あの時「ただのヒデオです」と語ったのは、きっとそういうことだと思う。
それに、サブキャラだって十分魅力的だ。
有村架純や長澤まさみ等のキャラの背景は殆ど語られないが、どんな想いで
生き延びてきたか察することができる作りなのであまり気にならない。
だいたい、長澤まさみ、登場シーンから何からすげーカッコいいじゃない。煙草も似合うし。
有村架純も、後半殆ど喋らないけど、すげー可愛いじゃない。重要な場面での台詞や目の表情が良い。
.
.
.
いちおう不満点。
前述だが、一部のZQNが強烈過ぎて、その他大勢が従来のゾンビと変わり映えしないように見えた点。
もうひとつ。ショッピングモールや生存者のリーダーの設定等、
中盤の流れはゾンビ映画においては割とステレオタイプといえるもの。
前半と終盤が鮮烈なだけに気になったし、物語的にもやや停滞感も覚えた。
だがその点も、シンプルかつ強固なストーリーのお陰でそんなに気にならず。
.
.
.
ここんとこ4.5判定ばっか付けてるので迷ったが……この映画はそれくらい付けても良い気がする。
佐藤信介監督は『GANTZ』で日本のVFXアクションの水準を一段階押し上げた方だと僕は思っているが、
今回の作品で、邦画エンタメ大作を観る際のハードルは更に高くなるんじゃないかしら。
以上! 度肝を抜かれる出来でした。
<2016.04.23鑑賞>
.
.
.
.
長い余談:
ZQNの語源であろうDQN(ドキュン)という言葉は
実はつい1,2年前に初めて知ったのだけど、これは
『とんでもなく非常識、あるいは態度が悪かったり反社会的な人間』
を指すネットスラング(=インターネット上での蔑称)だとか。
ということは、本作のZQNというのはかつてジョージ・A・ロメロが『THE DAWN OF THE DEAD』で大量消費社会の到来により“物質”に依存するようになってしまった現代人を虚ろに歩くゾンビという形態で表現したのと同様にZQNとは無気力に無目的に生き続ける事の苛立ちを他者にぶつけて解消しようとする現代の人々の利己性や暴力性を表現した存在なのであろうと解釈したがたぶん単純にゾンビエンタメやりたかっただけでこれ考え過ぎだと思いますハイ。
グロい、だけ、、
和製ゾンビの希望。
個人的にホラー党でもゾンビマニアでもないので、詳しい知識は
ほぼ皆無なれど、ここ最近ゾンビマニアと何回かご一緒した経験
あっての成果というか(いいのか、この言い回しで)楽しめたクチ。
ゾンビ映画特有のグロ描写はあれど、日本映画でここまで丁寧に
活写できているのが珍しいほど現存する和製ゾンビはダメなのが
多いらしい。ということは新たな希望?が見えてきたってことか。
(ゾンビ映画愛好者にとってですが)海外で受賞したというくらい
だから気持ち悪さではなかなかの手応え。特に冒頭で英雄の彼女
が覚醒するあのシーン^^;まぁ気味悪いの笑えるの(片瀬那奈だし)
とあそこだけでもかなりの出来。でもこのZQNは動きが早いのねぇ。
韓国に(ロケの)場を移してお馴染ショッピングモールでの対決編。
あの高跳び選手は韓国の人なんだとか。絶対跳ぶだろ、コイツは。
って分かっちゃいるのに放っておくからああなるんじゃん~^^;と
ツッコミどころも満載。主要3人は生き残るだろうけど、あとは?
というのがミエミエなのでラストの大虐殺まで延々と続く緊張と
大泉洋が醸す独特のコミカルがベストマッチするしつこいまでの
ロッカー妄想シーンなどで楽しむほかない。名立たる俳優が次々
殺られてしまうのでやや気の毒(マキタスポーツとかねぇ)だけど、
皆さん楽しんで演じてたんだろうなぁが伺えるのは微妙に楽しい。
(スニッカーズがトゥインキーならいいのになんて思ってしまった)
原作読んでるが、楽しめた。
手に汗握る良作。
ドキドキハラハラ
う~ん、やっぱり☆3つ
思ったよりも評判なのと
演技がうまい大泉洋さんが出ているので
レビュー鑑賞だけでなく実映画鑑賞。
(大泉)洋さんは去ることながら、
長澤まさみのあのしゃべり方がカッコいいだとか、
岡田義徳がかっこいいだとか、
吉沢悠がかっこいいだとか言っている人もいましたが、
う~ん、総じて言うとやっぱりゾンビ映画だ^^;
洋さんは全体通してあの映画なりにうまく演技してたのでそこは落ち着いて観れた。
英雄の恋人のてっこもどうしていつ感染?(もしくはZQN噛まれた?)のかもわかんなかったけど、
英雄はてっこに噛まれていたけどそれは歯が取れた後だったからだいじょぶ?でいいのかな。
ひろみは赤ちゃんのZQNに噛まれたから完全にZQNになってないでいいのかな。
アメリカのご都合主義じゃないけど、やっぱりメインとなる登場人物は生き残って行くんだなと。
(洋さんと女優2人)(そうじゃないと登場場面なくなるし仕事なくなるか^^;)
最後アベさんがZQNになっている奥さんと再会したけど殺しちゃって自分が後から行ってたけど、
ああゆう夫婦の場面でいうと、
アメリカのドラマ「ウォーキングデッド」にはかなわないかな、と思ったり。
もうちょっと感傷深くはでき、なかったか。。
高評価してる方もいらしゃりますけど、やっぱりこれは☆3つですよ。
(筆者はあまり得意分野でないってのもありますが。。)
もっと気分がよくなる映画を観たいっ
本当に最悪!
和製ゾンビ映画の一つの形を作った快作
何よりもまず、この映画の一番の魅力は本作品『アイアムアヒーロー』のオリジナルゾンビである「ZQN」の気持ち悪さです。
本作で最初にZQNとなってしまう、英雄の彼女”ゆっこ”のZQN覚醒シーンが、とにかく気持ち悪い!
非人間的な動きをするZQNの存在感に説得力があります。
また、ZQNは、”ゾンビになる前の日常動作を繰り返す”、特殊な性質を持つことが原作でも語られています。
この”一見普通の人間に見えても実は恐ろしいゾンビ”であるZQN達が、人々が集団生活する都市部にいると、誰がZQNで誰が人間かわからなくなってしまう、という恐怖。これを映画開幕30分ほどで、音の演出やワンカット表現などによって、キッチリと演出してくれます。
原作漫画も、多くのコマを使って一つのシーンを描くことで動的にストーリーを展開する、視覚的な表現に優れた漫画です。この視覚的な表現は、映画が最も得意とする所であり、そこをきっちりと表現できている。この点だけでも、映画化した価値は十分にあったと言えます。
また、主人公の英雄が負け犬から真の英雄と呼べる男になっていく過程の描き方も見事!
英雄の彼女、ゆっこの立ち位置を原作から少し改変し、英雄が負け犬であることの被害を全面的に被る立場を強調していることで、英雄のクズさを際立たせています。
そして、英雄がついに殻を破ろうとする場面をこれでもかと言うばかりにしつこくしつこく描写する、クライマックス直前のロッカーパートも見事!!その後、英雄が銃を撃つシーンをクライマックスに配することで、英雄の覚醒を華やかに描いています。
ただ気になったのは、有村架純演じる比呂美の存在価値があまりに矮小化されている点です。
原作では、この”ZQNに噛まれたのに完全にZQN化しない”比呂美の存在に、人類の希望が託されるはずなのですが、本作ではその部分が全く描かれません。これほど存在感がないのであれば、登場させなくてもよかったのでは?とまで思ってしまいます。
それから、後半に進んでいくに従い、ZQNの襲撃描写が、画面の端から突然現れるだけになっていた点も気になります。
気になる点は他にもいくつかありましたが、そんなことも気にならないほど魅力が詰まった一作です。
本作は「日本でもこんなゾンビ映画のが作れるのか!」という感動にとどまらず、新しい和製ゾンビを描く劇映画として、日本映画の新たな歴史を予見させる一作だと思います!!
全541件中、281~300件目を表示