「凡人がヒーローになる瞬間—邦画ゾンビ映画の傑作」アイアムアヒーロー hollowhollowさんの映画レビュー(感想・評価)
凡人がヒーローになる瞬間—邦画ゾンビ映画の傑作
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『アイアムアヒーロー』は、ゾンビ映画でありながら日本独特のリアリティと人間ドラマが融合した傑作です。主人公・鈴木英雄は冴えない漫画アシスタントで、銃を持ちながらも撃てない「凡人」。しかし、極限状態の中で少しずつ自分を変え、ついに「ヒーロー」へと覚醒する姿が胸を打ちます。
映画はアクションやサバイバルシーンに大胆に振り切り、息を呑む緊迫感で観客を引き込みます。特に序盤の街中のパニックシーンは圧巻で、海外大作映画さながらの迫力があります。ZQN(ゾキュン)のビジュアルも秀逸で、人間だった頃の習性を残した描写には皮肉と哀愁が漂います。
そして何より、大泉洋の演技が素晴らしい。彼の等身大の「弱さ」と「決意」が、英雄というキャラクターにリアリティを与え、観客の心に深く刺さります。終盤、彼が静かに銃を構える瞬間は圧巻です。
一方で、有村架純演じる比呂美の「半感染者」としての不安定さがやや弱く感じた点は惜しまれますが、それを補って余りある完成度です。原作未完の中でも「ヒーロー誕生」の瞬間をしっかりと描き切った本作は、邦画ゾンビ映画の新たな金字塔と言えるでしょう。
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