「日本、ついにはじまった。」アイアムアヒーロー ロロ・トマシさんの映画レビュー(感想・評価)
日本、ついにはじまった。
呆気に取られる、て表現が一番しっくりくるのかなあ。このグロさ、ちょっと自分の想像を遥かに超えておりましてね。いやマジかと。日本でこれ出来ちゃうのかよと。や、海外だったらまだ分るんです。んー、あーでもハリウッドでは無理か。無理というかブロックバスターでここまでは露骨にやらないか、という(『ワールド・ウォーZ』なんかが良い例ですよね)。
このグロの水準の高さが、例えばタランティーノの『ヘイトフル・エイト』を引き合いに出すと、あれも相当に痛いグロのオンパレードでしたが、あれを遥かに超えてきてます(比べる映画がおかしいですけど)。
人体を鈍器で何度も殴打する時の、音まで含めた生々しさ。刃物でグサグサ貫けば鋭い痛みが容易に想像でき、切株は山盛りのっけ盛り。銃で弾け飛ぶ頭部と散乱する肉片。血みどろ地獄。この振り切っちゃってる感ですよ。相当の覚悟を感じます。
邦画大作でありながら、そして大泉洋、有村架純、長澤まさみと売れっ子役者を揃えながら、万人向けな表現を跳ね除けて、オブラートには一切包まず、観客に確実なる生理的嫌悪感を抱かせに来てる。「うわっ気持ち悪っ!痛っ!いった!目!首!うわうわうわっ!やめてっっっ!!!」という、スラッシャー、スプラッターに全くの耐性がない人には目も覆いたくなるシークエンスの連続。
原作の設定を若干だけ変更し、物語進行は大幅に展開を削って簡素化、邦画じゃ流石にキツかったのかな、原作のハリウッド大作的なダイナミックさの再現を断念して、かなりのスケールダウン。だけど、それを差っ引いても間違いなく世界に通用する仕上がりになってます。そしてあのZQNことゾンビの表現は間違いなく、ゾンビ映画ファンにも万雷の拍手でもって歓迎されることでしょう。吐き気を催すほどの嫌悪感が味わえますから。