「近年珍しく、技術が追い付いていない」LUCY ルーシー うそつきカモメさんの映画レビュー(感想・評価)
近年珍しく、技術が追い付いていない
スカーレット・ヨハンソンは、きちんとした演技のできる美人だったのですね。
キャラクターは「イーオン・フラックス」を思わせますが、全く新しいアプローチで、生み出されたスーパーヒロイン。是非シリーズ化をして欲しいものですが、それにはちょっと無理のある結末でしたね。
始まりから、畳み掛ける展開のストーリーは抜群!
長尺でないのもいさぎよし。
この映画、作り方次第では「攻殻機動隊」「マトリックス」に匹敵するような作品に成り得たはずですが、残念ながら映画の技術が(またはリュック・ベッソン組の表現力が)追いついていません。
思い出せば、月にロケットがぶっ刺さり、お月様が涙を流していた時代があったのですから、10年後もしもこの映画を見る機会があれば「あー、本当はこんなことがやりたかったんだろうな…」と気付かされることでしょう。
モーガン・フリーマンの劇中のセリフ
「生命の目的はひとつ。勝ち得た能力を後世に伝えること。」
「生命は、そこが生存に適した環境であれば、繁殖を、適さない環境であれば不死を選択する」
「ほとんどの種は脳の1%も覚醒していない。人類は脳の10%を覚醒させているに過ぎない」
「驚くことにイルカは脳の20%を覚醒させていると推測される。彼らのコミュニケーション手段は、野生動物では群を抜いている。」
「人間は道具に頼ることで、覚醒の可能性を閉ざしてしまった。もし人類が100%脳を活性化させたとしたらどうなるか、想像もつかない。」
この説明的なセリフを映画にインサートすることで、ルーシーの体内に、そしてその周囲に起きる異変に説得力を与えるのですが、その現象は「お月様が涙」的な映像処理です。
ほとんどの観客は、この映画に、覚醒したルーシーと巨大組織のド派手な戦闘シーンや、緊迫した知能戦を期待したのでしょうが、そういう意味では全くの期待はずれ。レビューの点数が低いのもうなづけます。
しかし、この映画が目指したであろう地平と、その方向性に私は強く共感しました。
それにしても、ブルースクリーンの前で演技をするモーガン・フリーマンなんて想像もしませんでした。やはり彼は名優ですね。
2014.9.2